なにか新しいこと日記

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映画『帰ってきたヒトラー』を観ました!【ネタバレあり】

こんにちは、ジョヴァンナです。

一か月ほど前渋谷のHMV&BOOKSに立ち寄ったときに、おもしろそうな本を見つけました。

『帰ってきたヒトラー』

 

帰ってきたヒトラー 上下合本版 (河出文庫)

帰ってきたヒトラー 上下合本版 (河出文庫)

 

 超・問題作でした!

 

小説を読んだ後、ヒトラー役の俳優がどんな演技をするのか気になって、6月17日に公開された映画を観てきました。

 【目次】

 

あらすじ

舞台は移民・難民問題に揺れる2014年の首都ベルリン。死んだはずのアドルフ・ヒトラーが突如として蘇るところから映画は始まります。

 ヒトラーは映像作家のザヴァツキ青年によって見出だされ、共にドイツ中を行脚して街頭で演説します。

 その模様を収録した動画がYouTubeで大ヒットして、テレビ出演を果たしたヒトラーは「ユダヤ問題には触れぬこと」というテレビ局の忠告を守り、往年と同じ政治主張を繰り返して人気を集めるのでした。

 

原作と映画の違い

警告: ネタバレあります!

  1. YouTubeで人気沸騰した後、
  2. テレビ局重役に陥れられて人気凋落。
  3. 現実をパロディにした映画で人気の巻き返しを図る。
  4. ザヴァツキ君が謀反を起こすが、見事返り討ちに…。

 

といった具合にわかりやすい「起承転結」が盛り込まれていました。

 

 原作では気骨ある青年だったザヴァツキ君も映画ではママに甘やかされた軟弱者のオタクとして描かれ、狂言回しの役割を演じます。この意味するのは「いかにドイツの若者がおバカさんになっているかを、ステロタイプなキャラクターで表現してみました」ってところかな?

 

 

ここまでわかりやすくおもしろくしなければ、映画の観客にはウケないだろうってバカにされているみたいだった。(個人の感想です。)

 

笑う観客と笑えなかった私

今回公開直後のレディースディを狙って行ったらほぼ満席で、たまたま隣に座った中年の女性2人連れがこれまた奇妙な人たちでした。

 

 開始早々からなんでもないシーンで「プッ」と吹き出し、その後も全然おかしくないシーンで笑う。笑う、笑う。

 全体が風刺的な作品だからどこで笑ってもおかしくないのかもしれないけど、どんなシーンにも反射的に笑っているみたいで気になりました。

それ自体がブラックジョークみたいに感じた。

 

 私にしてみれば、この映画に笑えるシーンはそこまで多くなかったです。

「お笑い要員」に割り当てられているキャストが、ザヴァツキ君の他にザヴァツキのママ、テレビ局重役のゼンゼンブリンクなど何人かいて、そのために改変されたストーリーがわざとらしくて残念でした。コメディ映画じゃないんだから、そんなにウケを狙わなくていいのに…というのが私の感想です。

 原作のほうが、全員が大まじめなぶんかえってシュールで笑えました。

 

この作品が示唆する脅威

 映画としての出来はともかくとして、マジに冷や水を浴びせられるような意義ある作品ではありました。

 我々観客はバカだと思われて、余分な脚色が追加されている。そのことが、まずおそろしい。

 

 また、予告なく各地でロケを行って撮影したというドキュメンタリー部分。ヒトラーの街頭でのパフォーマンス部分ですが、意外と、芸人としてのヒトラーに好意的なドイツ人が多いのもこわかった。

そりゃあ、もちろん、苦情を言っている人もいました。でも、本当にヒトラーが蘇ったら、意外と人々は受け入れて容易にまた扇動されちゃうんじゃないかという脅威を感じました。

 

 その後現実にイギリスの国民投票での結果もあり一般大衆は潜在的に外国人への怒りを持っているんだなってことがよく、わかった。何かちょっとでも異変があれば一触即発、戦争に向かうような雰囲気がある。世界中にある。

 

 

テレビ的に映える演出や勢いのある演説に我々はだまされやすいです。そういうものに容易にだまされないよう、自分の頭で考えられるだけの見識なり、能力、メディアリテラシーを鍛えていかなければと思います。

 

 この作品を読んで私が反省した点は、ヒトラーって聞くとすぐに「大虐殺」が頭に浮かんでシャットアウトしてしまい、これまでまったく何事も知ろうとしなかったことです。なぜああいう人があそこまで受け入れられたのか。まともなところも当然あっただろうし、優れた政治的ビジョンを持ったリーダーであり演説家であったはず。

似たようなタイプの指導者が出てきたときに、しっかり考えて検討できるだけの見識を国民全員が持たなければ危ないと思います。

以上、ジョヴァンナ(id:giovannna)のネタバレ感想でしたっ。