2016年にフリーランス開業し、昨日1年目の事業所得を申告してきた。初めての青色申告はほとんどお金をかけずに遂行できた。
65万円の控除を受けるのにあれこれ悩んだり調べたりしたことをここにまとめておくので、これから開業する方の参考になれば幸いだ。
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前提として、私は店舗、在庫を持たないスモールビジネスを営んでおり、週3日はパートタイムで同業他社に勤務する「給与所得者」でもある。
簿記の資格は日商簿記3級を持っている。つまり、初歩の初歩ぐらいはわかる、初心者レベルということだ。
[目次]
- 1.青色申告って何を提出するの?
- 2.Macで使用できる青色申告ソフト
- 3.申告書作成までの所要時間(私の場合)
- 4.手間を省くための会計のコツ
- 5.青色1年生が困ったこと
- 6.青色申告をして良かったこと
- 7.参考にした書籍【2020年修正・追記】
- 8.書類の保管に使用したファイル
- 9.終わりに
1.青色申告って何を提出するの?
ある日税務署から封筒が送られてきた。中身はこんな感じ。
1-1.税務署からのお知らせ
「申告書作成会場は税務署にないので国税に行ってね」と書いてある。築地まで行くの、めんどくさ〜。
1-2.申告・青色決算のガイドブック
これは読まなかったな〜。
1-3.青色の申告書用紙
事業の決算書類です。別に青くはない……。
1-4.「申告書B」
こっちが申告書。サラリーマン時代もこれだったような……?
1-5.税務署に郵送するための封筒
自分で糊付けして作るタイプ。今回はこちらを利用して郵送で申告した。
1-6.マイナンバーのお知らせと添付書類台紙
マイナンバーを専用の台紙に両面コピーして貼り付け、控除の書類もホチキス留めして送った。(用紙がない人はそのままでも可)
2.Macで使用できる青色申告ソフト
私が使ったのは「やよいの青色申告オンライン」だ。初年度使用料0円につられてこちらを選んだ。2年目の利用料金はサポートなしプランで8000円+税 / サポートあり12000円+税。
こういうものは途中で変えたりするのはめんどくさいので、倒産しそうにない会社を選ぶのがいいだろう。
そもそも、Macユーザーは選択肢が少ない。のちに「やるぞ!青色申告」ダウンロード版というソフトを知ったが、私が探しているときはこんなのなかったな〜〜。
3.申告書作成までの所要時間(私の場合)
- 毎月の入力 30~50分×12回=6~10時間
- 年まとめのチェックなど 3~4時間
- 申告書の作成 90分
合計 約10.5〜15.5時間
3-1.毎月の入力:
末締めで請求書が来るので、ネット振込と会計入力を同じ日にオンラインで行っている。はじめの頃はひと月ぶんの処理に1時間もかかった。
勘定科目で迷ったり、後から修正したのが1番大きな時間のロスだった。書類をきちんと揃えるのにも時間がかかる。クレジットの明細をダウンロードしたり、領収書がない経費を集計して伝票を書いたりなど……。
3-2.年まとめのチェック:
自宅の家賃など「家事按分」は最後にMoneyTreeからの連携を見て、加えた。
勘定科目も「これは分けた方がいいな」ってものは新たに項目を設けて修正し、チェックに余計な時間がかかってしまった。
3-3.申告書の作成:
やよいの指示に従って入力していったら、あっという間に終った。とは言え間違いがないか、ひとつひとつ確認しながら行い、90分はかかった。
4.手間を省くための会計のコツ
4-1.毎月入力すること。
レシートを溜め込むと「これは何のお金か」わからなくなる。Amazonで買ったものもそう。買い物をあまりしなくてもそうなった。忘却力恐るべし!
4-2.まめに現金と帳簿を合わせる。
現金の買い物は全て、100均の「おこづかい帳」につけて数日ごとに帳簿を合わせた。PCで入力した後も口座残高、帳簿、会計ソフトで数字が違っていないかを必ず確認した。
こういうのが面倒なら、全部クレジットで購入して家計簿アプリと連携させると、入力の手間が省けるだろう。
4-3.仕訳について勉強する
開業1年目の人は仕訳をよく考えてから始めるのがおすすめだ。途中で科目を変えたりすると、二度手間となり余計な時間を食ってしまう。
「これは経費になるのか、ならないのか」「経費にするときの勘定科目は何か?」「経費把握のために新しく設定した方がいい勘定科目は?」これらについてアドバイスできるのは税理士だけと法律で決まっている。私は節約のため、税理士の書いた本を参考にして自力で勉強した。
4-4.専用のファイルを用意する
とにかく、ファイリングが命! レシートや請求書は一箇所にまとめてしまっておき、年末に整理するのがよい。公共料金やバイト先からの源泉徴収票、社会保険の支払い証明、「ふるさと納税」や寄付金の領収書など、全部一箇所で管理するのがおすすめだ。
5.青色1年生が困ったこと
5-1Q: 本当に自力でできるの?
初年度は売上も少ないだろうし「まずは自分でやってみよう」と決めて、がんばった。
本当に困ったら、やよいのプランをアップグレードしてサポートサービスを受けるつもりだった。税務署で開催される無料相談には、スケジュールが合わなくて参加できず……。結果的には、なんとか全部自力でできた。
5-2Q: 申告書の作成って難しくないの?
申告書の作成は会計ソフトが自動でしてくれるので、難しくなかった。
6.青色申告をして良かったこと
フリーランスになってから自宅マンションが「事務所兼」の扱いになり、家賃の一部を経費計上できるようになった。これを「家事按分」と言う。
しかも私はパートで働いてるので「給与所得控除」が適用された上、65万円の「青色申告控除」が差し引かれ節税効果は大だ。
7.参考にした書籍【2020年修正・追記】
7-1.『個人事業主・フリーランスのための青色申告』
個人事業主・フリーランスのための青色申告 令和2年3月16日締切分 無料で使える!やよいの青色申告 オンライン対応 (アスキームック)
- 作者:
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2019/12/06
- メディア: ムック
- 少ないページ数で、大づかみにわかる。
- 字が大きく、読みやすい。
- 1つの項目につき見開き2ページで説明されているので、どこに何が書いてあるの参照しやすい。
「やよい」ユーザーにとっては、500円で読める解説書として便利だ。私は申告までこの本を手元に置いて作業した。
7-2.『経費になる領収書ならない領収書がよくわかる本』
経費の本は数あれど、「自営業の経費」に詳しいこの本は超おすすめである。
個人事業主は「会社」と違うので「これは経費に入れていいの? どうなの?」って迷うことが多々ある。いろいろ読んだ中で、この本が一番良かった。基本的な考え方を説明しているので「こうしたら経費にできる」という応用が効く。
「どんなレシートも無理やり経費にしてOKですよ」って本ではないので、グレーゾーンの方法や解釈は書いておらず、安心して利用できた。
8.書類の保管に使用したファイル
8-1.申告に添付する書類
上記の2種類を公私で使い分けている。
キングジムの領収書ファイルはヒット商品でいろんなサイズがあり、インデックスシール付で使いやすいが、お値段は高め。
私はここに、年金・健康保険・共済など領収書や控除の書類をまとめて整理している。サラリーマンにもおすすめ。
リヒトはワンコインで安い。ゴムバンドで留められて中身が見えないので、持ち運んで、コンビニでコピーするなどのシチュエーションにも安心だ。
8-2.日々のレシート
美術展で購入した、二つ折のポケットファイルに一ヶ月分のレシートをはさんでしまっている。入力が済んだらホチキス止めして茶封筒にガサッとまとめて保管する。量が少ないので、順番にノートに貼り付けたりとかはしない。
8-3.ネットバンクの取引明細、カード明細、請求書など
A4書類は穴を開けてごく普通のフラットファイルに1年分まとめている。
9.終わりに
失業を契機として突然開業することになり「青色申告どうしよう…」って悩んだが、ちゃんと自力でできた!
追記2020/2/26
その後もずっと「やよいオンライン」を使用している。なるべくクレジットカードを使用するようにして手書きの出納帳は廃止し、月ごとではなく数ヶ月分まとめての入力に切り替えた。作業には慣れて、だんだん早くなっている。
2019年度は、初めてe-Taxに挑戦した。
振替の処理など、帳簿で少しあやしいところはあるが、経費の使い方は適正にやっているし、書類の保存もばっちりである。
これまでに税理士に相談したことはない。時間的・金銭的余裕があれば、税理士に相談するのもいいだろうが、小規模事業ならば、とりあえず自力で勉強して会計入力するのも充分可能だ。