なにか新しいこと日記

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旧江戸川乱歩邸に行ってきました

旧江戸川乱歩邸

学生諸君が夏休みを迎えようとする頃、えむ(@mnb_yx) さんと憧れの旧乱歩邸を見学してきました。

推理小説の父・江戸川乱歩が後半生を過ごした自宅です。

2002年に遺族から膨大な蔵書ごと立教大学に寄贈され、現在は「立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター」として保存、公開、研究の事業が行われています。

乱歩が生涯をかけて収集した資料はすでに整理され、立教大学図書館のOPACで検索できるようになっています。事前に申し込みさえすればだれでも閲覧可能です。

 

今後は旧邸や土蔵などに手を加え、一般の人が見学しやすいようにする構想もあるようです。今のところは見学できるエリアが限られるため、ぜひそのようにしてもらいたい。いつか、土蔵の中にも立ち入って見てみたいと熱望しています。

この記事では2018年7月、私が見学した模様を紹介します。

旧乱歩邸を見学する 

公式情報大衆文化研究センター(旧江戸川乱歩邸) | 立教大学

池袋の駅から徒歩7分立教大学の門前を通りすぎると、大学の敷地と敷地の間の辻に道標が立っています。

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門には金色の文字で「旧江戸川乱歩邸」の表札と、本名・平井太郎の表札の両方が掲げられていました。横に並ぶ隆太郎氏とは立教大学の教授であったご子息(故人)の名前です。

我々が滞在している短い間にも次々と見学客が訪れていました。池袋にある隠れた名所と言えます。

まず玄関が小さな展示室になっており、ショーケースの中に夢野久作から贈られた博多人形、名だたる作家が寄稿した合作小説『江川蘭子』、光文社版の少年探偵シリーズなどが展示されていました。他の方のブログを見ると、内容は時々入れ替えがあるみたい。

江川蘭子

少年探偵シリーズ

 

玄関を出て庭を回ると、広い応接室が外から拝見できます。

この部屋には度々探偵作家クラブのメンバーなど来客が訪れ交流したそうです。

旧江戸川乱歩邸・応接室

 

手前のデスクには有名な『貼雑年譜(はりまぜねんぷ)』の姿が見えました。これは乱歩お手製のスクラップ帳で、記録魔だった乱歩が関心ある事柄を記録したものです。『貼雑年譜(はりまぜねんぷ)』

 

母屋と土蔵の間には後から増築してくっつけた「離れ」のようなスペースがあり、ここも展示室になっていました。特に『貼雑年譜(はりまぜねんぷ)』から抜粋されたという自作の年表がおもしろかった。方眼紙に几帳面な字で父親の職業や居住地まで細かに記載されていました。他には多数の小説の表紙が見えるように陳列され、今見てもモダンな装丁が格好いいと感じました。

この部屋には係の人がいてガイドブックや記念品を販売していました。小さいガイドブックには土蔵の内部の写真がコンパクトにまとめられ、解説文もおもしろそうだったので1冊購入しました。

 

そして、ここが通称「幻影城」。乱歩が収集した資料をおさめていた土蔵です。

旧江戸川乱歩邸・土蔵

入り口に階段があって上がり框の手前まで進めるようになっており、ガラス越しに中の様子が見えました。入り口のどん前にいきなり階段があり、二階へと続いています。その階段を囲むようにして四方に書棚が配置されていました。

この日は猛暑で、温度計を見ると中の温度は30℃をゆうに越えていました。日本の気候風土に合わせて建てられた保管専用の蔵とは言え、最近の東京の気温は異常ですから、空調設備なしで中の本が傷んだりしないのかと心配になってしまいました。

 

ついでに、付近の本屋めぐりも

30分ほどで見学を終えると、駅周辺を散策しました。

大学の側にある「夏目書房」。
(追記2019年7月:こちらは惜しまれつつ、2019年に閉店しました。)

夏目書房

同行のえむさんが早速好みの棚を見つけて興奮していました。

私は、最近興味がある浮世絵のコーナーにしばらくとどまって見ていました。妖怪絵ばかりを集めた画集だとかいいな〜。お値段もなかなかだけど、欲しい〜。

 

駅寄りにはちょっと珍しい文庫専門の書店「大地屋書店」がありました。

文庫ボックス

ここはセレクトもおもしろいし、著者の名前順に本が配列されており見やすかった。学術文庫はレーベルごとに並べられていました。円朝の怪談本を見つけて、買おうか迷った。またの機会に買い物に行きたいと思います。

終わりに

旧乱歩邸は、20年ほど前にマンガ家の喜国雅彦先生が『ダ・ヴィンチ』の企画でレポートしているのを読んで以来、憧れの地でした。

当時部数限定で『貼雑年譜(はりまぜねんぷ)』の完全復刻版が出ており、喜国先生は30万円で購入したそうです。誌面で紹介されているのを見てワクワクしていたところ、一部を展示で見ることができうれしかった。

なお、喜国先生が初めて乱歩邸を訪れた時の模様が『本棚探偵の冒険』に載っています。ほんの10ページの短いエッセイながら貴重な体験談なので興味ある方はぜひ。この時も雑誌の取材で、喜国先生は山口雅也先生から声をかけられ、同行者は夫人の国樹由香先生と京極夏彦先生と豪華なメンバーだったそうです。(追記:2018年7月30日)

本棚探偵の冒険 (双葉文庫)

本棚探偵の冒険 (双葉文庫)

 

土蔵の中に入れないのは残念でしたが、過去のイベントでは公開されたこともあったらしい。

普段は平日(水・金)のみの公開です。土日しか行けない方は、ぜひイベント情報をチェックしてみてください。

公式サイトはこちら大衆文化研究センター(旧江戸川乱歩邸) | 立教大学

Twitter旧江戸川乱歩邸(大衆文化研究センター) (@Rikkyo_Rampo) | Twitter

なお、2018年8月9日~8月21日は夏季休業となります。ご注意あれ。

 

帰ってから読んだこの本。家の中や土蔵の内部の写真もありますし、本以外のコレクションや乱歩の私物について詳しく解説されていておもしろい。お薦めです!

怪人 江戸川乱歩のコレクション (とんぼの本)

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