なにか新しいこと日記

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映画『はじめてのおもてなし』を観てきました【難民国際映画祭2017】

ジョヴァンナです。こんにちは!

国連UNHCR難民映画祭2017に参加して、上映作品を観てきました。

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イベント概要

このイベントは東京・札幌・名古屋・大阪・福岡・広島の各会場で「難民問題」を扱った映画を上映するものです。

各会場ごとに設けられた受付締切日までにインターネット上から参加申し込みができます。当選すれば、無料で映画が観られます。

大阪・福岡・広島会場は2017年10月10日まで応募可能ですので、興味がある方は公式ウェブサイトからアクセスして応募してみてください。

第12回 国連UNHCR難民映画祭2017

 

上映について

東京会場は最も上映作品が多く、私は3作品に応募して2作品の招待状(メール)を手にしました。このうち『ウェルカム・トゥ・ジャーマニー(邦題:はじめてのおもてなし)』を観て来たので紹介します。

当日は16時からの開始だったのが前のスケジュールが押してしまって遅刻気味。しかも、うっかり会場を間違えて渋谷から表参道まで無駄に移動する始末。会場入りが30分遅れ「後半60分だけでも観ようかどうしようか……」迷ったのですが、席に着いたら、上映前に挨拶などがあったらしく映画はまだ冒頭部分でした。

上映後には、いとうせいこうさん、サヘル・ローズさんを迎えてのトークイベントもありましたよ。

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『ウェルカム・トゥ・ジャーマニー』概要

この作品は難民問題に揺れるドイツが舞台。ですが、制作されたのは少し前のことで、国際的に難民問題が騒がれる前、2016年に本国で上映され大ヒットしたそうです。

youtu.be

(予告は英語字幕です。)

予告編を観ると、ある熟年女性が家族の反対を押し切り、自宅に難民を受け入れ共同生活をすることで家族が直面した悲喜こもごも……を描いた作品のようでした。てっきり、重めのヒューマンドラマかな?と思い見始めたのですが、予想に反して老若男女が楽しめるコメディ映画でした。

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ドイツ製の社会派コメディと言えば『帰ってきたヒトラー』が記憶に新しいところ。ドイツではこういう作品がヒットして、皆が楽しめる土壌があるんだなあと感じました。 

映画『帰ってきたヒトラー』を観ました!【ネタバレあり】 - なにか新しいこと日記

 

次の項では《ネタバレ》してますので、スキップしたい方はこちらをどうぞ!

 

あらすじ《ネタバレあり》

家族の反対を押し切り「私は、ただ人の役に立ちたいだけ」と、難民の受け入れを決めたのは主婦のアンゲリカでした。夫のリチャードとはすれ違いが多く、ケンカのたびに憮然として酒をあおるシーンが印象的です。

夫と同じく受け入れ反対だった弁護士の長男。彼は妻と別れ小学生の息子を引き取ったものの、ワーカホリックで携帯電話が常に鳴り止まず。息子をかまってやれる時間など少しもありません。息子は仲間との楽曲・動画制作にのめり込んで自由奔放にふるまい、落第寸前の問題児です。

受け入れに賛成していた娘のゾフィは万年学生。「これぞ」と打ち込めるものがなく「自分探し」を続けて早数年。今は心理学の勉強中ですが、中年のストーカーに追い回されストレスが溜まっています。

それぞれに問題を抱えたハートマン一家の家にやって来たのは、難民申請中のナイジェリア青年ディアロでした。ディアロはボコ・ハラムに故郷の村を焼かれ家族を失って、単身ドイツに渡ってきました。あまりにも凄絶な体験をしたため、面接で「家族の話はできない」と拒んだディアロに対し、アンジェリカは「話さなくていいのよ」と理解を示し受け入れを決めます。

何よりも家族を大切に思うディアロは、アンジェリカが酒浸りになって夫と話をしないこと、彼女が夫を必要としているのに夫は逃げてばかりいること、娘のゾフィがいい年をして(本人が望むのにも関わらず)結婚しないで一人でいることが理解できません。そうこうしているうちに、歓迎パーティに押しかけた人たちが大騒ぎをして隣人から通報されたり、長男の息子が動画制作のために学校にストリッパーを呼んで落第しそうになったり、ゾフィのストーカーが家に押し入ってのてんやわんやとなります。まじめなドイツ人の中に混ざっている破天荒な人たちが、物語を引っ掻き回して大いに笑わせてくれます。

事あるごとに、ディアロを含めた家族が一丸となって問題解決をし、心を通わせていくハートウォーミングな物語です。

 

私の心に残った点

朴訥なディアロのキャラクターとの対比で、都会に暮らすドイツ人がいかに狂っているかを描いた風刺的な作品でもあります。これは、このまま我が国に置き換えても同じことだな……と思いつつ観ていました。つまり、夫婦のすれ違いを解決せずに酒や秘密のガールフレンドで紛らわしてみたりだとか、いまひとつ打ち込めない、おもしろくない勉強を続けて時間を空費する学生だとか。教育には熱心だけれども息子の話をちっとも聞いていないお父さんだとかね。

そういった社会風刺と難民問題とを絡めて、難民問題を、自分たちの生活と地続きのこととして考えてもらえたら……っていう作品なんじゃないかな。

そんなにものすごく難民問題にばかりフォーカスしているわけでもないけれど、長男の息子が落第しそうになった時、ディアロが成績挽回のために研究発表を手伝うシーンがあります。クラスメートの前でスピーチをするのですが、それまで話したがらなかったボコ・ハラムの襲撃の件について、小学生にも理解できる言葉で訥々と語るシーンには胸が詰まりました。本当につらいことというのは、なかなか語り得ないものだと思います。どんな思いで難民の人たちは故郷を逃れて、海を渡ってきたのかということ。その一部に触れて、圧倒されました。

 

この作品の本邦での公開は2018年1月。シネスイッチ銀座を始め、全国順次公開予定です。手元にあるフライヤーでは、邦題は『はじめてのおもてなし』となっています。全編を通じコメディとして楽しめ、最後には心が温かくなる素敵な作品です。

お近くで上映の際には、ぜひ、ご鑑賞ください!