なにか新しいこと日記

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山岸凉子展『光-てらす』に行ってきました。

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ジョヴァンナです、こんにちは!

山岸凉子先生の原画展に行ってきました。

山岸凉子展『光 -てらす-』メタモルフォーゼの世界
2016年9月30日〜12月25日
弥生美術館(東京都文京区)にて

作品保護のため、前期・中期・後期と入れ替えがあって、前期と後期の内容は同じだそうです。

 

絵の世界に存分に浸りたかったから、休暇の後の気力体力が充実した日を選んで、いざ出発!

想像以上に、それはもう圧倒的な美しさでしたよ…。

【目次】

 

展示の内容

の長編3作を目玉として、壁1面を使ってそれぞれカラー原画、白黒の生原稿や拡大パネルなどを展示。

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館内は撮影禁止です。こちらは唯一写真撮影がゆるされていたコーナー。


他にも単行本の表紙に採用されたカラー原画や、初期作品・短編作品のカラー原稿など内容が充実しており「こんな凄いものを900円で見せていただけるなんて…」と感激しつつ堪能してきました!

 

山岸先生の画力の凄さ

山岸先生は美大日本画を専攻されていたとのこと。道理で、流れるような描線や古代人の衣装の描き方などにその片鱗を感じます。
カラー原画はまるで水彩画のよう。濃淡はランダムでにじんだ背景も美しく、昨今のデジタル処理された描画やコピックなどのくっきりとした発色とはまた異なった色合いの妙に見入ってしまいました。

 

白黒の本編原稿を拡大し長辺が1m以上もあろうかというパネルに仕立てたものも、何点か展示されていました。

 普通はA4サイズほどの用紙に描かれた原画を雑誌や単行本の判型に合わせて縮小するのが、当たり前です。デジタル写真を拡大すると画素が粗くなってぼやけるように、マンガも拡大すれば描線のガタつきやアラが目立つのが普通ではないでしょうか。しかし山岸先生の原稿は拡大しても変わらない完成度で、巨大スクリーンで映画を見るようなド迫力に圧倒されました。

 

印刷には写らない、細やかな表現

ベタ塗りの黒も、生原稿を見ると奥行きを感じさせるように微妙に濃淡ある塗り方がされ、印刷ではただのマットな黒になっているのがもったいなく思えるほど。髪もきちんと毛流れの方向に従って塗られ、印刷に写らないところまで丁寧に描かれていることに感動しました。

鏡よ鏡… (ぶーけコミックスワイド版)

鏡よ鏡… (ぶーけコミックスワイド版)

 

髪と言えば『鏡よ鏡』という作品。白雪姫と鏡の女王をモチーフにした母と子のマンガで、有名女優である母親を描いたカラー原画がありました。(発表時の原題は『星の運行』)
ストレートの黒髪のショートヘアを横分けにしてピッタリと撫で付け、流し目をして真っ黒な背景に佇んでいます。

この背景の吸い込まれるような闇に対して、女優の髪は同じ黒でもさまざまな色を塗り重ねた上からさらに黒を重ねたような、複雑なニュアンスのある黒として表現されています。
髪が輝くツヤの部分は黒真珠のような複雑な照りとして描かれています。

 

黒い背景に黒髪の人が重なっているのに、黒の色味や質感までもがハッキリと違って見える…!

 このマンガは印象に残るおもしろい話で表紙の絵も文庫本でカラーで見た記憶がありますが、印刷では凄みのある美しい絵であってもここまでの色味は再現されていなかったところ、今回生原画を間近に見て心底驚きました。

 

同じように私はほとんどの作品を文庫で読んでおり、原画を見てはいちいち細部の美しさに驚かされました。
もう一度あれこれ読み返したい、大きな判型の愛蔵版でもう一度絵の魅力を堪能したい…と思いました。文庫だと話のおもしろさが先行して細部までは見落としてるところもあったように思います。

 

画集やグッズ販売もあり

潮出版社から出ている山岸凉子スペシャルセレクションが平積みでずらり並んでいるのが圧巻で、写真に撮りたかったです…。

他に『日出処天子』愛蔵版や、一筆箋や絵ハガキなどのグッズも販売されていました。
複製原画ポスターは、6万円以上するものが限定部数ですが結構売れていたみたい。(横にシールで売れた部数らしきものを表示されていました。)ものによって、30枚くらい売れていそうな絵も。

 

画集には作者のコメントによれば、今回展示した作品の中から色合いやキャラクターの表情などが納得いく仕上がりになっているものを厳選して収録したそうです。

そのため私の好きな絵が必ずしも網羅されてはおらず、ものすごーく買うのを迷って決断できずに出てきてしまいました。でも巻末のインタビューも読みたいから、やっぱり書店で買うかもしれません。

山岸凉子画集:光

山岸凉子画集:光

 

 

混雑具合は…

私は11月初めの平日、仕事の合間を見て1時頃行きましたが、比較的空いていてゆっくり見られました。

中期は11/1〜27まで。期の初めですこし空いていたのかもしれません。前期にはどんなものが展示されていのかの紹介があったりして、細やかな配慮がうれしい展示会でした。

 

お客さんは、リアルタイムで読んでいたと思われる中高年女性の二人連れが多かったです。 

大好きな作家の作品を、間近でゆっくり見られて感激するとともに、山岸凉子先生の天才ぶりに改めてノックアウトされました。過去の作品もまた入手して、読み返したいと思います。