「即位礼正殿の儀」の話題で世間が持ちきりの中、「新宿ネイキッドロフト」で開催された漫画家・井上純一先生のトークイベントに行ってきた。
『オレのお金はどこに消えたのか〜消えた6000万円と絵日記漫画家が経済マンガを書く理由〜』イベント開催概要
内容:トークライブ
日時:2019年10月22日 12:30〜(終了時間15:30頃)
場所:新宿ネイキッドロフト
ゲスト:野上武志
入場料:前売り1,500円+ワンドリンクオーダー制
私は2016年にも井上先生のイベントに行っている。
その際に聞いた「会社の共同経営者に横領したまま逃げられ、裁判を起こそうとしている話」がずーっと気になっており、ゲスな興味が抑えられなかった。
今回も、ハイテンションの井上先生から次々に繰り出される、おもしろい話をたくさん聞いてきた。
この記事では内容の一部を紹介し、レポートしたい。
第一部:「世界を変えようとすると、人間は必ず不幸になる」
経済マンガ『キミのお金はどこに消えるのか』の連載を通じて、井上先生は、どうしたら世の中を変えられるか真剣に考えたという。
方法としては、2つ。
1:明確に敵を限定し、「経産省をぶっつぶす!」などと言って人々を扇動する。しかし、この方法は最終的に血を見る可能性がある。また、やっている人間が精神的におかしくなる。(社会生活になじまない闘争心を煽るためか?)
月さんやお子さん、家族の幸せを考えると、井上先生はこれができなかった。
2:多くの人は、基本的に悪口を聞きたくない。「消費税反対」などのネガティブ系はそこが難しい。
どんなに淡い希望でも「希望」を提示しなければ、人は着いてこない。
以上をもって、次巻から連載のタイトルを変えるらしい。『希望の光が見えてきた』みたいな……!(このタイトルは、まさか、冗談だと思うが……。)
野上先生いわく、井上先生は分析家だ。
分析はうまいが、自分で一からキャラクターを創作し動かすことが難しい。だから自分の家族を主人公にしたエッセイマンガは描けるけど、フィクションは描けないと、本人も話していた。
(この後、宮崎駿映画を例に引き、井上先生が長広舌をぶっていて、おもしろかった。)
第二部:K氏を訴えるのはひとまず断念
井上先生の会社に6000万円の損失をもたらした元ビジネスパートナーのK氏。現在は中国と日本とを行き来し、海賊版プラモの販売で小銭を稼いでいるらしい。過去には、会社の金で購入した玩具・制作した商品も相当数売却していたようだ。
K氏は中国に住所を置いているため、2国間にまたがる訴訟となり、刑事で訴えることは難しい。一方、民事で訴えることはできるが、バックレられては結局意味がない。「これ以上むだなお金を使うのはやめて」という奥様(月さん)の意見で、井上先生は裁判をあきらめることに……。
K氏とて、初めからお金を騙し取るつもりだったわけではなく、ギリギリまで相談もせず自転車操業を続けた結果、破綻したのではないかという見方だ。
ネットオークションの販売歴を見る限り、K氏はコレクションを売り払うなど経済的に困窮している様子。井上先生が手を下すまでもなく、自滅するのでは……と言っていた。
感想
前半は、超ハイテンションでアジりまくっている井上先生に圧倒され笑った。
中盤『崖の上のポニョ』が話としていかに破綻しているか、などなど、クリエーションの話もおもしろかった。
思うに、創作をする人は脳の使い方が普通の人と違うんだろう。
娯楽作品としてきちんと構築できることと、「キャラクターに命を与える」というのは全然別の才能で、それを両方備えた本物の天才は限られているように思う。
後半のKさんの話。「マンガに描いて回収する!」と言っていたのに一向に描かれないのは、そういうことだったのか……。
たぶん、この次出る『中国嫁日記』辺りで報告としてまとめられるんじゃないかと思うが、今回の話を聞いて、私としては一応納得できた。残念だけど、損したお金を本人から取り返すことは難しいようだ。今後もいい作品を描いて、マンガの売上で取り戻すしかないのだろう。
話を聞いていると、月さんの姉さんら中国の親戚の話がぶっとんでいておもしろいから、おカネと絡めてそっちの話を描いたら、また、ウケるんじゃないかなー?
3時間にわたるイベントで、ネットに書ける話・書けない話もいろいろ聞けて楽しかった。
大体、他人が失敗した話はおもしろい。お金の話であれば、なおさらだ。
今回、イベントの席代1500円に加え、ワンドリンク制プラスアルファで1500円位飲食をしてきた。ロフトの系列は、食べ物が美味しい。
会場は狭いが、新宿ロフトプラスワンと比べたら、地上にある分だけ圧迫感もなく居心地はままあよかった。
また、おもしろそうなイベントがあれば行ってみたい。
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