ジョヴァンナです。こんにちは!
新宿末廣亭で毎週土曜日の夜に開かれる《深夜寄席(しんやよせ)》に行ってきました。
新宿三丁目を通るたび、古い趣のある建物の前で行列している人たちが気になっていたんですが、知らない世界に入って行く勇気が出ずに…早10年。
何気なく手に取ったこちらの本に末廣亭の紹介があって「深夜寄席がおすすめ」という情報を読み、思い切って行ってみました。
いや〜 笑った、笑った!!
本日は、初心者でも気軽に楽しめる新宿末廣亭《深夜寄席》を紹介しまーす。
[目次]
《深夜寄席》とは
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日時:毎週土曜日、夜21時30分~23時(90分)
- 場所:新宿三丁目、末廣亭
- 出演者:階級としては上から2番目の《二ツ目》と呼ばれる若手落語家のみ。4人が噺(はなし)をする。
- 料金:入場料500円。当日券のみ。
- 席:全席自由席。(椅子が117席、左右の座敷が各38席。)
『ニッポンを解剖する!東京図鑑』(ジェイティビィパブリッシング)より抜粋。
21時、末廣亭前はすでに大行列
大人気の深夜寄席。チケットの発売は21時からと書いてありましたが、「一時間前から並ぶ人もいる」とクチコミを見て、発売15分前に現地に行っときました。
大盛況でした!
少し離れた交差点に「最後尾」の札を持った人を見つけて、我々も並びました。出演する落語家が、自ら代金の徴収や入場券・チラシの配布を行っていました。
この日は春休みということもあってか、大入り満員だったそうです。早めに行っといて良かった~!
しかし、なかなか入場案内されず寒い中外で待っているのはつらかった。
会場も足元がすごーく冷えました。コンビニでお茶を買って持ち込んだんだけど、あったかいコーヒーにすれば良かった〜。失敗! 寒がりの方は気温・天候に注意が必要です。
場内の雰囲気
想像より若いお客さんが多かった。20~50代までの方が中心で、高齢者はほとんどいませんでした。
この日はたまたまイベント中だったそうで、山田邦子、えなりかずきなど芸能人からのお祝いの花がズラーッと後ろに並んでました。
落語家は出世すると階級が上がって最終的には《真打ち》になります。「三遊亭ときん」がこの春真打ちになって、御披露目イベントがすぐ前の時間にあったようです。
この後、登場した落語家が《枕》でそう言っていました。(枕というのは、落語の前フリの短いトークのことです。)
場内は撮影禁止のため、写真はありません。
1946年に宮大工によって建てられた木造建築物で、新宿区の地域重要文化財に認定されているそうです。
桟敷席があるはずなんだけど、お客を入れていたのかどうかよく見ていませんでした。今度行ったら、よく見てみよう。
《深夜寄席》当日の出演者と演目
- 林家たこ平…『狸札』
- 柳亭こみち…『火焔太鼓』
- 春風亭正太郎…『長屋の花見』
- 柳家喬の字…『お見立て』
2017年4月2日の深夜寄席にて
ホワイトボードを持っているのが春風亭正太郎さんです。出演後はさっさと洋服に着替えてました。ふーん、そういうものか。
落語の知識は必要なし!
私の落語の知識と言えば中島らもの『寝ずの番』と、同作品を映画で見ただけ。
大河ドラマはたまーに観ることもありますが、特に時代ものが好きってわけではありません。
その程度の知識でも、別に問題なかったよ!
お客さんは若い人も多いし、お客の顔見て、わかるように注釈付きで話してくれてるのかな?って思ったぐらい。
この日の最初の噺『狸札』は、江戸の話と思って聞いていたら突然一万円札が登場します。つまり、落語によっては多少現代風にアレンジされているわけ。
『昭和元禄落語心中』を観た彼からは「古典落語はアレンジしない」と聞きましたが、どうでしょうか? Wikipediaを見る限り『火焔太鼓』『お見立て』は古典落語と書いてありますね。だけど言葉がわからないことはなかった。
大河ドラマ(江戸もの)を見て理解できる人なら、大丈夫です!
誰が一番おもしろかったか?
同行した彼氏に感想を訊かれて「皆おもしろかったよ!」と答えました。全部の噺にガハガハ笑ってて、うるさかったらしいです。
でも、強いて言えば、一番良かったのは柳亭こみちさん!
こみちの路より
落語家は、名前を売ってナンボ
直前に出演したたこ平さんのこと、ダメな奴だと枕でけちょんけちょんにするんだけど、それが、若輩者をバカにして笑いを取ろうっていうんじゃなく「たこ平、たこ平」と名前を連呼して、お客さんに名前を売ってあげてるんじゃないかなって感じました。
落語の枕っていうのは、そういうもの?
トリの喬の字(きょうのじ)さんは、枕で、
「予告で、出演者の名前がまちがっていて私のところにクレームが来ました。私がまちがえたんじゃないが《喬太郎》は私の兄弟子で、私は《喬の字》です。私のこと、今日、初めてお聞きになる人は?」
と、お客さんに手を挙げさせました。私も手を挙げました。大勢挙げるのを見て、喬の字さん、
「こりゃ開拓の余地あるな」
と言って、また自分の名前を連呼していました。その顔つきからは初めて来たお客さんにもなるべく名前を売って、覚えて帰ってもらいたい!という気迫を感じた。
そんなのを見て、こみちさんっていうのは愛情のある優しい先輩なんじゃないかと勝手に想像したわけです。
こみちさんは「たこ平は落語を6分○秒しかしなかった」と、そうも言ってました。
おかしいよね! 他の人が話してる時間を逐一、ストップウォッチで計ってたんでしょうか? 「枕が長くて噺が短い」と、初めて来た私でも気づいた《しくじり》に、ちゃーんと突っ込んで笑い飛ばしてあげる。だから「この人の笑いはあったかいな、いいな」って感じました。
こみちさんの『火焔太鼓』
噺も良かった。
とんまな古道具屋の主人と、しっかり者のおかみさんの掛け合いがおもしろいお話です。
売れそうにもない汚い太鼓を旦那が市場で買ってきて、おかみさんから「こんなもの売れやしないよ」と叱られる場面。口うるさいおかみさんを、まぁ上手におやりになること! ハマリ役とはこういうことじゃないでしょうか。
とんまな主人はモタモタした喋り方。あるいは武士の慇懃で威厳のある話し方。声色を変えるだけでなく、話すテンポまでが自由自在。演じ分けが自然でした。
噺自体もおもしろくて、旦那に口を酸っぱくして粗相がないように言い聞かせていたおかみさんが後半では急転直下、旦那にたしなめられる始末。
同じフレーズをリフレインするのが、またおかしい。始めはおかみさんに言い含められたセリフを、旦那がおうむ返しにくり返す。ところが結末になると、今度は旦那のセリフをそっくりおかみさんがくり返す。「えーっあの汚い太鼓が、売れちまったのかい!? ヒェーッ」と2人して同じ驚き方をするわけです。
この噺が気になった方は、オチまでしっかりとWikipediaに載ってますので見てみてください。
まとめ
私は毎日仕事ばっかしていて、自宅に帰れば1人。声を上げて笑うなんてことはそうそうありません。「ここでは笑っていいんだよ!」って許されている場所で思う存分笑って、リフレッシュできました。今度は昼間も来てみよう。
終電に間に合う方や都内出張などで宿がある方は、土曜日の夜を狙って行ってみてください。偶数月には1日だけ金曜日の《深夜寄席》もあります。
二ツ目の落語家ばかりが登場するので、おもしろさは期待してよし! 出演者自らスタッフも兼ねており、お客さんとの距離が近いのも《深夜寄席》のいいところ。
今秋真打ちへの昇進が決まった柳亭こみちさんも、あと数回は《深夜寄席》に出演されれる予定です。こみちさんのスケジュールを知りたい方は、こちらのホームページでどうぞ!
1000円以内で入場できる寄席の情報も多数掲載されてます。相場がイマイチわからないけど、映画より安い寄席も結構あるんだね。
《深夜寄席》の情報は、末廣亭の公式ホームページをご覧ください。