毎晩悪夢にうなされたけど、ある本を読んでから悪夢を見なくなった

私は10代の頃から吉本ばななの大ファンだ。しかし、どこがおもしろいのか、おすすめ作品は?と訊かれると難しい。

ばななさんは、ある時期まで「傷ついた人を小説で癒やす」ことを意識して書いていたそうだ。だから、ばななさんの小説に共鳴する「ある種の傷」を抱えた人たちは貪るように読み、そうでない人には全然響かない。そういうものなんだと思う。

 

『花のベッドでひるねして』を読んだとき、このところ停滞していたモヤが晴れていくような明るさを感じた。

この作品に登場するおじいさんの誇り高い生き方や、「違うこと」をしないこと、を繰り返し主張していたのが印象に残った。

 

「違うこと」とはなんなのか。簡単に言い換えれば、「気が進まないこと」になるんじゃないかな。
自分が特別やりたくなくても、だれかのためにそうした方がいいと思えばよろこんで行動することもある。そういうことではなくて、「本当は気が進まないんだけど、義理で仕方なく……」とか、その類いのことだ。(この場合、よろこんで行動しているかどうかがポイントとなる。)

私はある時点から「やりたくないことは徹底的にしない!」と決めて、自分の思う道を進んできたつもりだ。
それでも義理とか人情とか、簡単に切って捨てられないものはある。

 

ここ1か月ぐらい、毎晩のように悪夢にうなされていた。

同じ部屋で寝ているパートナーの話によると、週2~3回は夜中に叫んだりしてうるさいらしい。突然の大声に驚いて起こされるのに、私の方は全然起きなくて腹立たしいそうだ。

「K、やめてよ!」とか、叫んでいるんだって……。
Kというのは実家にいる弟のことで、彼には重い高次脳機能障害がある。普段は気にしていないつもりだけど、実は結構気にしていたみたいだ。

母や弟はここのところ、高頻度で悪夢の中に登場する。父は全く出てこない。たぶん、弟の世話に関しては完全に「空気」になっているからだろう。

月1回ぐらい、母に付き合って話を聞いたりしているのが重いのかもしれない。話を聞くぐらいしてあげないと母の方がストレスで認知症になるんじゃないかと思い、そうしているのだが、楽しい時間ではない。終わるとどっと疲れて1日寝込んだりする。ただただ、重い……。

 

翻って、自分の意に沿わないことを強要されて強く抵抗するというのが、最近の悪夢のパターンだ。

 

これが、ある本を読んでからさっぱりなくなった。

『「違うこと」をしないこと』

吉本ばななの新刊で、エッセイを主体として宇宙マッサージのプリミ恥部さん、サイキックのCHIEさんと対談している本だ。このうち、プリミ恥部さんが登場する部分がすごく良かった!

 

プリミ恥部さんという人はアーティストで、普段は音楽活動をしている人らしい。ひょんなことから「宇宙マッサージ」のセッションを行うことになり、それが大人気だという。会話はほとんどせず、プリミさんが宇宙とつながり、触るだけで癒されるマッサージのようだ。

プリミ恥部さんは「肉体も思考も魂も宇宙と一体化していった時、その一体化した体の中枢のラインに、愛のエネルギーをその方のスジが通るようにチューニングしていく」と言っている。

へ~~! これだけ聞いても、にわかには信じがたいような怪しげな話なのだが、私は長年ばななさんのブログを読み続けているので、抵抗なく、そんなこともあるのかなーと感じた。

ばなな:私は、八〇年代、九〇年代には、小説を通して、忙しく働いて疲れ果てた女の人たちを癒やしたかったんです。でも今ってもっと変な感じ。みな疲れすぎて自分っていうものにさえたどりつけなくなっているんじゃないかって。何かを始めようと思っても、自分が何を好きかということさえわからなくなってるし、自分がないから、疲れているかどうかさえ感じられない。このままだとどうなっちゃうんだろうって、ちょっと心配になります。(p27)

プリミ:ぼくから見ると、初期設定があいまいな人が多いんだと思います。自分がこう在りたいというのが明快じゃないので常識に縛られてしまって、お金を稼ぐなら「我慢しなきゃいけない」「がんばらなきゃいけない」「遊んでちゃいけない」とかって設定が、最初から勝手に親や世間や義務教育などから刷り込まれてしまっていたりする。初期設定がそうなっちゃうと、そこから先は、もう、そういう道しかあらわれないんですよ。宇宙はコンピュータになっているので、初期入力、初期設定がすごく大事なんです。逆に言うと、自分の設定さえハッキリ入力して宇宙のコンピュータを起動できれば、現実は自分のビジョン通りに、何もしなくても、必要なことが起きて動き出します。(p29)

どっちの話もわかる気がする。

なにより、このプリミ恥部さんって人の言葉を読んでいると、清々しくて、心地よい温かさを感じる。胸の中にスーッと風が通るような感じ。

 

邪心がなくて、愛を動機に行動している人って、あったかい感じがする。

反対に、邪心がある人もすぐにわかる。顔つきにあらわれるし、発声の仕方もどこかこわばっていて尖った感じ。そして、自分の都合がいいように他人をコントロールしようとする強引な発言が多くなる。

プリミ恥部さんってそういうのがないから、爽やかなんだ。

 

私も愛だけを動機に行動しよう……。人に合わせなきゃとか、他人がして欲しいことを汲んでいやいやながら行動するなんて、相手にも自分の魂にも失礼な話だわ。そう思って、あたたかい気持ちで床に就いたら悪夢は見なくなっていた。

たぶん意識が上書きされたんだろう。

この話が全然わからない人は、スルーして。もし興味を持った方は読んでみてください。

「違うこと」をしないこと

「違うこと」をしないこと