なにか新しいこと日記

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『ソーイング・ビー2』感想: 私が応援しているのはローナ!

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ソーイング・ビー2』はイギリスで制作されたコンテスト番組だ。10人のソーイング愛好家がお題に沿って縫製の腕を競い合う。できあがった作品は2人の審査員によって格付けされ、毎週1〜2名が脱落し最終的に優勝者が選ばれる。

審査員

メイ・マーティンはソーイング指導歴40年の講師。パトリック・グラントはサヴィル・ロウの老舗仕立店のデザイナーだ。

片方が欠点を指摘したら片方が長所を見つけて褒めるというように、阿吽の呼吸で番組を運営している。

番組構成

毎週の課題は3つ。

  • 1つ目は、共通の型紙を基にそれぞれが好きな生地を選び、縫い上げる。
  • 2つ目はリメイク。同じ素材(デニムや、ニット、カーテンなど)をリメイクし、お題に沿って自由な発想で創作する。
  • 3つ目は1人ずつモデルを割り当てられ、モデルの体型に合わせて衣装を作る。

制限時間は型紙があるものは1時間半など短め、創作するものは4〜6時間と長めに設定されている。

 

番組は1時間番組として編集され、日本では30分ずつ2回に分けて放送している。

司会進行のクローディアが制作中の1人1人に話しかけてコメントを引き出し、軽妙なトークを繰り広げる場面は楽しいが、ソーイング愛好家の私としてはもっと詳しく制作工程を見たい。

ソーイングをしない人でも楽しめるように、むだを省いて編集されているので仕方ないのだが……。欲を言えば、1つの課題につき1時間ぐらいじっくり見たいものだ。

人物紹介

シーズン2に出場した10名のうち技術が際立っているのはシニアのローナ、ポール、壮年のニール、それから若いライアンの4人だ。

 

ローナは白髪のショートヘア、高身長のすらっとした女性だ。子どもの頃は合う服がなく不格好でいじめられたが、自分で服を縫うようになったら褒められ「私も作って」と人が集まるようになったとそうだ。性格に少しシニカルな面があり、それも彼女の魅力の一つと言える。

大柄や派手な柄を好み、とにかく技術が優れている。私はローナが一推しだ。

 

ポールは高齢の母の服をよく縫っているという。温厚そうな男性だ。技術は優れているが、デザイン選びに少し古くさいと感じさせるところがある。

ニールは軍人。若い頃から妻の服を多く制作しており、センスもいいし、婦人服を作り慣れている。

ライアンはまだ20代と思われる。柄の選択が奇抜で個性的。若者らしい感性を感じさせる。技術は正確でスピーディー。演劇のために1960年代風のドレスを縫った経験もある。
「君のことは、安心して見ていられるよ」と審査員のパトリックに絶賛されていた。

アマンダは30代〜40代前半だろうか。普段は小学校で子どもたちに裁縫を教えている。1950年代のファッションに通じ、得意なものを作るときは技術も安定している。センスは洗練されており、年齢が近いこともあって、センスを言うなら私はアマンダが一番好きだ。

 

出演者10人それぞれに良いところがある。

しかし、技術が拙い人は優れたアイデアがあっても時間内に仕上げることができず、何度も同じ失敗を繰り返す傾向がある。

例えばニーラは、縫った後、細かくハサミを入れるべきところで切りすぎて表に穴を空けてしまった。デボラは焦って縫い合わせる部分をまちがえたり、裏表を逆に縫ったりなど……。

全員がアマチュアのため、普段は自分のペースで制作しているはずだが、この番組では厳しい時間制限が課される。課題を完成させられなければ減点の対象だ。

 

いくつかの課題を見ると、大きなミスをしたり未完成に終わるメンバーはいつも決まっていて「次に脱落するのは、たぶんこの人だろう」と想像がつく。時間さえ掛ければ、どの人も丁寧に縫製できるはずだが……。

 

正確で手際が良いのは、ローナ、ライアン、ニール、ポール。この4人だ。

前半の課題ではローナが何度か2位に甘んじた後、見事1位を勝ち取り、粘りを見せた。最終的にはローナとライアンの一騎討ちになるんじゃないかな?
ニールもいい線いっているが、技術では三番手ぐらい。ポールは残念ながらセンスが及ばなそうだ。全体として婦人服の課題が多く、男性には不利な部分もあるだろう。とは言え、前半に脱落したのは女性ばかり。男性陣は健闘していた。

服飾史の解説

課題の衣服には、それぞれ歴史的背景がある。

例えば17世紀、イギリスのチャールズ2世が初めて考案し作らせたという紳士服のベスト。贅沢に生地を使用するフランスの宮廷衣装と決別し、生地を節約してイギリス産のウールを使い、反フランスをアピールする政治的な意図があった。

また1947年、クリスチャン・ディオールが考案し一世を風靡した『ニュールック』は、ウエストを絞りスカートの生地はたっぷり取って膨らませたフェミニンなスタイルだ。

このような服飾史のミニ解説を聞くのも楽しい。

前半の感想

出演者が悪戦苦闘している最中に、審査員がそれぞれ見回って影でヒソヒソ話し合うシーンでは、どんなところで失敗しやすいのか、また、美しく仕上げるためのテクニックを知ることができて勉強になる。

講評では全員の前で痛いところをズバリ指摘し、少し意地が悪いと感じさせる面も……。だが貶すばかりではなく良いところは褒めているし「レベルが高い闘いだから」とフォローも忘れない。審査は公平かつ、思いやりを持ってなされている。

30分ずつに短く区切られすぐに観終わってしまうので、何度も観たくなる魅力がある。

ソーイングに全く興味のないパートナーといっしょに観ていたら「これ、最初から観たいね」と言い出し、驚いた。

第1期は4週間で、第2期は8週間で1人の優勝者を選び、1と2をひとまとめにしたものを日本ではシーズン1として放送している。イギリスでのシーズン3が日本でのシーズン2となっており、ややこしい。イギリスではシーズン5まで制作されたとのことで、続きを観るのが楽しみだ。

2020年11月6日追記:
アマゾンプライム会員特典に『ソーイング・ビー』が仲間入りした。
シーズン1の全4話、シーズン2の全8話がそれぞれ見放題で観られる。