なにか新しいこと日記

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空き巣に入られたビンボーOLの話

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一度だけ、空き巣に入られたことがある。

 

当時実家から長距離通勤をして、定期代として半年で約20万円を現金支給されていた。JRの分はクレジットカードで引き落としがかかるためゆうちょ銀行へ、バスと地下鉄の分7万円は封筒に入れたまま自宅へ持ち帰った。 

残業が続き、散らかり放題の部屋で暮らしていた。

6月のある土曜日。昼過ぎまで寝ていて家に誰もいなかった。夕方までダラダラして買い物に出かけた。その後すぐに両親も帰宅したらしい。2時間後、いつものように家族で夕食を囲んだ。

明くる日も怠惰な休日を過ごした。部屋を掃除しなきゃ……と思いつつ。図書館に行こうとして本をピックアップしているとき、床に何か落ちていることに気づいた。乾いた泥の色した小さなゴミだった。複数落ちていて「何だろう、汚いな」と思い、拾ってゴミ箱に入れた。

 

翌週7万円を銀行に預けようとして探したが、なかった。

あれ、一番上の引き出しに入れたと思ったんだけど……机の上に置きっぱなしだったかな?

山をひっくり返し、15分探してもないのであきらめて出勤した。

 

その日は早めに帰宅して掃除機を掛けながら探した。思いつく限りの場所を探したが、見つからなかった。

母親に相談した。

「えっ。Kも今朝そんなこと言ってたよ。家庭教師のバイトの給料5万円、引き出しに入れてあったはずなのにない。空き巣に入られたかもしれないって」

 

警察を呼んだ。

私の部屋はすでに掃除してしまったので証拠に乏しかった。机に残された指紋などを採集されたが不完全だったらしい。

よくよく考えてみれば、土曜日の夜私が出かけるところを賊に見られていたのだと思う。家の中に1箇所しか灯りが点いていなくてガレージも空っぽで、灯りが消えて自転車が出ていったら「この家は誰もいません」って大声で叫んでいるようなものだ。その日1階は施錠したが2階は窓を開けっぱなしだった。

だけど、どうやって侵入したんだろう?

父親と一緒にKの部屋に入って床を捜索したら、窓の近くに1~2ミリ大の三角の物が落ちていた。

「これ、何だと思う?」

「ああ、これは……バラのトゲだね」

「!?」

なるほど。侵入経路がわかった。

当時父親の趣味で庭にバラを育てており、バラを絡ませるための木製のゲートを軒先から1〜2mほど離して設置していた。小柄な人物ならゲートをよじ登って屋根に跳び移り、窓から侵入することもできたのだろう。2部屋から12万円盗み、ものの5分で去って行ったに違いない。

実に鮮やかだ。感心するよ。

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自室に入られたショックで熱が出た。

知らない人が土足で私の部屋を踏み荒らし、7万円を盗んで行ったのだ。ショックだった。

私はその頃、資格学校入学をめざして生活を切りつめ年間100万円貯めていた。

手取りがおよそ18万円。実家に5万円納め、7万円預金すると手元に残るのは6万円(昼食代込み)。友だちや同僚は同じように実家住まいでもっと余裕のある生活をしていたが、私には目標があるからあまり贅沢はできない。

それなのに、7万円も持っていかれて心が折れそうだった。

 

友だちとハワイに行くことにした。

「泥棒に取られるぐらいなら、もっと散財すればよかった」

そんな気持ちからだった。

私の10〜20代を振り返ると、本当にお金の使い方が下手だったと思う。

いくら目標のためとは言え、一所懸命働いてるのに自由に使えるお金が乏しくてはすぐにいやになってしまう。それでストレスが溜まってボーナスが入るたびに散財しては貯金を減らしていたのだから、本末転倒だ。空き巣に入られたのはお金の使い方を見直すきっかけになった。それに「もう二度と被害に遭いたくない」と、すごく用心深くなった。

 

父はゲートを撤去し、生け垣を短く刈り込んでスカスカにしてしまった。気がつけば周囲はそんな家ばかりだった。

私は「鍵を掛けていれば安心だ」という思い込みを捨て、「いつでも狙われているかもしれない」と気持ちを切り替えた。

 

  • 自宅にまとまった現金は置かない。外出するときも現金は最小限だけ持ち歩く。
  • 通帳と印鑑は分けて保管する。
  • 窓から容易に侵入されるような足がかりのある物件はNG。
  • 留守宅の電気は一つつけっぱなしにする。
  • 洗濯物をベランダに干さない、干しっぱなしにしない。(不在が丸わかりになるようなことは避ける。)

 

女だって、タフじゃなければ生きてはいけないのだ。

 

SPECIAL THANKS...

イラストレーション: DAC

アイキャッチ制作: あいまいみー(@imyme_999

 

この小説は、ブロガーと読者をつなぐサークル『ヒャッハー委員会』のお題「あなたの散財エピソード」に応募するために書かれた。