なにか新しいこと日記

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夕食後の読書タイムに読んだ本【2024年6月】

夕食後の読書シリーズ。コツコツ続けていたら、未読の本の山が減ってきた。

6月は「いつか読もう」と思って大人買いした作品を書棚から抜き出していくらか読んだ。マンガは限られた少数の作者だけにしぼって紙の本を集め、書棚に並べている。そういうものを読めるのは豊かな時間だ。

ソーイングに注力するため、こちらのブログはしばらく間が空いてしまったが、夕食後の紙の本の読書タイムだけは守ってせっせと読んでいる。

アンの青春

6月2日〜8日まで。2時間45分で読了。

5月から読み始めたアンシリーズの続きを読む。

隣に引っ越してきた偏屈な中年男ハリソンさんが、奥さんが登場した途端に一所懸命悲しそうな顔をしてみるものの「喜びが隠しきれていない」とアンに見破られるエピソードに笑った。

『アンの青春』で新たに登場する人物の中ではミス・ラベンダー・ルイスが一番好きだな。夢見がちのたおやかな中年女性。映画でもすてきな人、すてきなお住まいだった印象がある。彼女が長年の思い人アーヴィング氏と結婚したとき、息子のポールが食卓にある鐘を鳴らしたら、ジャンジャンと鐘の音が谷にこだましたという。シリーズ屈指の名場面だ。

プリニウス 全Ⅻ巻(全12巻、マンガ)

6月8日〜14日。3時間15分で読了。最初のほうは30分で1冊半、後半は2冊ずつ進んでいった。

前半10巻までは古代ローマの政治家であり博物学者でもあるプリニウスが書記のエウクレスと出会い、従者フェリクスを連れて3人で諸国漫遊し、さまざまな自然の事物や天災の記録を集める。同時代、中央では暴君ネロが人臣を虐げ国を傾けた数年の出来事が描かれる。

プリニウス一行の楽しげなロードムービーと、血なまぐさい中央での陰謀、殺人、暴力事件のドラマが交互に繰り返されるのが対照的、すごい温度差だった。プリニウスはネロを嫌ってローマにはほとんど寄り付かないので接点は少なく、別々のドラマが同時進行していく感じだ。だけれども自然を愛し、おのれの道を突き進むプリニウスと、芸術と女を愛し、傍若無人に権勢をふるうネロ。どこかリンクするところもあって、おもしろかった。

11巻ではプリニウスの少年時代に遡り、半生を駆け足でふりかえっていく。12巻は老年期にジャンプし、ウェスウィウス火山の噴火。1巻冒頭の話とつながって物語が環をなす構造。できれば11〜12巻の辺りは引き伸ばしてゆっくり描いて欲しかった。もっともっと、プリニウスの物語を読んでいたかったな。

個性豊かなオジさんばかりが活躍するこの物語。ヤマザキマリ先生の人物画も良かったが、それ以上にとり・みき先生の緻密な背景画、どうやって描いたのか(そんな資料あったの?)と驚くローマ市街の鳥瞰図、猫やこどもの目線になりきった俯瞰図、そして空想上の生き物や、大火事や度重なる火山の噴火を描いたスペクタクル図と、絵を見る楽しみがいっぱいだった。

第28回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)マンガ大賞受賞、おめでとうございます。

書籍修繕という仕事

15日〜17日。90分で読了。

アメリカの大学院で書籍修繕の技法を学び、ソウルに帰って書籍修繕店を開いた女性のノンフィクションエッセイ。本文中に紹介された本やものは、ほとんどが口絵の写真で紹介され、ビフォーアフターの姿が見られるようになっているのが楽しい。

依頼人の手元でボロボロになるまで読まれた本。あるいは劣悪な環境の下、クモの糞でシミだらけになったり、カビに巣食われた写真集。無惨な姿になってしまった本を1ページずつ開いて掃除し、ちぎれたページは丹念に貼りあわせ、失われた表紙は新たにデザインして付けるなど……。元の姿に近い状態に戻したものと全く新しい形にリフォームされたものがあって、それぞれおもしろかった。

特に、新しくデザインして装丁から作り上げる作業では著者の高度な創造性と、依頼人への深い思いやりに感動した。これは相当、料金が高くなっても仕方ないだろう。日本にもこんな職人、または、アーティストがいたらいいのに……。

一つ学んだこととしては、ゴキブリやクモは本に糞をする大敵だということだ。今後はクモ一匹見逃すことなく出ていってもらおう。年に1回は図書室でアースレッドでもしよう、と思った。

 

漂流教室 全3巻(マンガ)

6月18日〜21日、2時間で読了。

えむさんと暮らすようになって、2人でせっせと集めたのが諸星大二郎先生のマンガ、それから楳図かずおパーフェクションだった。『漂流教室』はその頃に通読しているはずだが、今ふたたび読んで新鮮に驚いてしまった。

ちょっとしたアクシデントで時空に歪みが生じ、小学校が校舎丸ごと未来に飛ばされ、800人の生徒と教師が人類が死に絶えた世界でサバイバルする話。いわゆる「終末もの」だ。
マッドマックスぐらい大人たちがイカれていて、どんどん人が死ぬのが恐ろしい。大人もこどもも容赦なく残虐な死に方をする。

驚くのは主人公の少年・高松くんの立派さだ。彼はどんな目に遭っても善良な心を失わず、人と助け合い生きていこうとする。小学生の子にここまでできるんだということを、楳図先生は信じて描かれたんじゃないかと思う。そこがすごい。

海神記 上下巻(マンガ)

6月22日〜23日。1時間。

弥生時代の日本にいた海洋民族の話。
船で旅する人々がふしぎなこどもと出会い、そこにシャーマニズムが重なって、しょっちゅう祭祀と戦ばっかりやっている。

諸星先生の著作の中でもダントツにわからない話だった。
弥生時代の知識がなさすぎて入り込めなかったのもある。これって『妖怪ハンター』の延長線上で、1990年代当時の学説に基づきながら、諸星先生が自由に想像して描かれたものなんだと思うけど……。とにかくわからなかった!
時をおいて3回ぐらい読んでみないとなにが描いてあるのか全然わからない。おもしろいかどうかもわからない。

アンの愛情

25日〜29日。3時間で読了。

赤毛のアン、18歳の物語。教員資格を得て地元の小学校で教えていたアンはいよいよ準備が整い、大学に進学することになる。

そこで出会った新たな親友フィルを含め、女子学生4人と、世話をしてくれるジェムシーナ伯母さんで家を借りて暮らすことに……。フィルって子が、美しいのだけれど軽薄で、いつも言い寄ってくる男ともだちの話ばっかりしている(が、嫌らしくはない)。私は全然いい印象を持たなかったが、結末では並いる求婚者を退けて素朴な牧師志望の青年と結婚する。

この巻は結婚の話が多く、アン自身いろんな男性からプロポーズされては断り、ともだちの結婚式に出席し、中年同士の恋のエピソードとか。そういう話ばっかりなんだよね。こども時代からの友人・ギルバートがあきらめずに二度目のプロポーズをしてきたところ。ここは印象的な場面でとてもよく覚えていたけれど、後押ししたのがフィルだったとは……。最後の最後にフィルもおせっかいなことして、いいところを見せたね!

ここから先の話は全く読んでいないので、読むのが楽しみだ。