なにか新しいこと日記

都内で働く30代キャリアウーマンが新しいことにトライしてみた日々の記録。

ブリューゲルの『バベルの塔』高さ3mを見上げる。

ジョヴァンナです、こんにちは。

本日の話題は、上野で開催中の「バベル展」のレポです。なかなか書けなくて2週間も寝かせちゃったけど、早くこのネタを書きたかった!

 

今回会場に足を運ぶにあたり参考にさせていただいた情報はこちら、茶箱さんのブログです。

www.pooh70.com

 

会期中、東京都美術館の近くの東京藝術大学ではレプリカとプロジェクションマッピングを展示していること、こちらのブログで知りました。情報ありがとうございました。

 

[目次]

 

ブリューゲルの『バベルの塔』ってどんな塔?

旧約聖書に登場するバベルの塔の物語。私の中ではなんとなーく、ドラゴンクエスト5に出てくる「ボブルの塔」のイメージで思い描いておりました。

円錐の頂上をナイフで削いだような形の、巨大な塔です。

 

このような形でバベルの塔をどどーんと主題に据え、パノラマで描いたのがネーデルラントの画家ブリューゲルです。

塔の高さは10階建て。描かれた人の身長を170cmと仮定すると約500m、台湾にある台北101くらいの高さと計算されています。『芸術新潮』2017年5月号(新潮社)p32より

 

バベル展

【公式】 ブリューゲル「バベルの塔」展 より『バベルの塔』

 

ブリューゲル以前、バベルの塔自体をメインにここまで壮大なスケールで描いた作品はなかったようです。むしろ塔を建てる人々や、建設の発注者と言われるニムロデ王、あるいは塔が崩れて逃げまどう人々など、あくまでも宗教的な「ストーリー」を中心に描くのが当たり前だったらしい。

 

確かに、今回の展覧会の告知でブリューゲルのバベルを目にしたとき「そう言えば、私の想像してたバベルも、こんな形だなー」と思いました。

この絵は後の画家にも大きな影響を与えているそうです。

 

『バベルの塔』展の様子

そんなブリューゲルの『バベルの塔』は、24年ぶりに来日しました。同時代のネーデルラントの画家の作品と共に、上野の東京都美術館に2017年7月2日まで展示されています。その後は、大阪へ移動するそうです。

スタートの1階展示室は、ブリューゲルに影響を与えたと言われるヒエロニムス・ボスの作品を目玉として、他の画家が描いた宗教画で占められていました。2階からがやっとブリューゲルの作品です。基本的に宗教画ばっかり。

 

肝心の『バベルの塔』は非常に小さな絵画でした。

列に並んで「立ち止まらないでくださーい」と呼びかけられながら、トコロテン式で鑑賞しました。じっくり眺めたい人はロープを張った外側から、1列目の人の頭越しに鑑賞することになります。

比較的空いていたので何度も並んで見ましたが、やっぱり小さいし、絵の前で立ち止まって見られないのは残念でした。

 

小さい!ということに一番感動しました。

油絵でどうやってそんな細かいところを描いたのだろうか……と、高校の授業で美術を選択した私には疑問だった。爪楊枝のような尖ったものを用いなければあんな小さな人影は描けないと思います。

とにかくディテールが細かくてビックリ!

 

会場には、東京藝術大学IOC拠点の協力による約300パーセントの拡大複製画も展示されていました。

こちらはそんなに混んでいないのと、接近して見られるので良かったです。

 

バベルの塔の断面図が見られる

会場の外(屋内)には、マンガ家で映画監督の大友克洋氏の手によるデジタル作品が展示されてました。

『INSIDE BABEL 1』と『INSIDE BABEL 2』の2点、こちらは無料で鑑賞できます。

INSIDE BABEL 1

『芸術新潮』2017年5月号(新潮社)より、 『INSIDE BABEL 1』

 

塔の内部を大友氏が想像によって描いたものを、共同制作者の河村康輔氏がブリューゲルの絵と合成して着彩したそうです。

バベルの塔の中心部は空洞で中庭のようになってるんですねー。内部なんて考えたこともなかった!

中央が空洞でないと構造上耐えられずに崩壊するそうです。『芸術新潮』2017年5月号(新潮社)p40より

 

デジタルコラージュ作品の制作風景や、ブリューゲルの絵の細かいところが見たくて『芸術新潮』買いましたよ。

この本によれば、大友氏が手書きしたペン画を河村氏が細かな操作をして貼り合わせ、コンピュータで合成しているそうです。

何十枚なのかそれとも何百枚なのか、大量の絵を貼り合わせ最終的に90×110.5cmもある大作となっています。しかも超緻密!

 

ブリューゲルの元の絵がそもそも緻密なんです。芸大のレプリカにしろ大友版の作品にしろ、こんなに引き伸ばしても粗さを感じさせないのはスゴイ!

その後、芸大にもレプリカの塔を見に行きました。

 

東京藝術大学の展示《Study of BABEL》に感激しました

立体化された『バベルの塔』

このレプリカがまた、すばらしかった!

音楽学部の敷地内イベントスペースで、無料で公開されておりました。こちらは写真撮影もOKです。

Study of BABEL 立体レプリカ

 

大きいんだよね、とにかく……。

3mを超える巨大なレプリカでした。

細部まで絵の通りに立体で再現されていることに、感激!

 

柵もなく、素通しで近づいて見られましたよ。細部を飽きず眺めました。

漆喰を吊し上げるクレーン小屋の様子や、

Study of BABEL 立体レプリカ

 

レンガを運んでいるところ。

Study of BABEL 立体レプリカ

 

教会に向かう人々の行列。(窓には、会場を訪れた人の映像をデジタルに取り込んで投影する仕掛けも!)

Study of BABEL 立体レプリカ

 

建築中の上層階に木材で組んだ足場も、細部まで再現されています。

Study of BABEL 立体レプリカ

 

夜のバベル

お隣りの暗い部屋では、立体スクリーンにプロジェクションマッピングが投影されていました。

Study of BABEL

建設作業に携わる人々が生き生きと働き、滑車も上下に動いています。教会に向かう人の流れも見える、動いている。

ムービーでは昼夜が移り変わり、暗くなると塔の内部に灯りがともるのが綺麗でした。夜のバベルはムービーならではの景色です。(レプリカに興奮して夜の写真撮るの忘れちゃった。興味がある方はぜひ現地に足を運んでご覧ください。)

 

クローン文化財

科学分析をもとに、当時の筆遣いや絵の具の成分までもを再現して作られたクローン文化財も展示されていました。110パーセントの拡大だそうです。(撮影不可だったので写真はありません。)

 

まとめ

本物よりも立体化レプリカを見て興奮した私は、もはや価値観が倒錯してるかもしれない。だけれども近眼だし、動体視力も悪いんで、列に並んで歩きながら見るってよく見えなかったんですよ。

 

一方東京藝術大学のレプリカ、こんなすばらしいものを無料で公開してしまうとは……。COIってのは政府の肝いりで、相当お金をかけた事業なんでしょうね!

 

東京都美術館から芸大までの移動は徒歩10分程度。芸大の方は展示物が少ないので、すぐに見終わります。おすすめです! 

 

『バベルの塔』展 開催情報

関西方面の方は、上記サイトにて、大阪会場(7月18日~ 10月15日)の情報をチェックしてみてください。

 

《Study of BABEL》 開催情報

芸大の展示も、上記と休館日・時間は共通です。金曜日の夜は「バベルナイト」というイベントを開催してるらしいよ!

詳細はこちらの公式サイトをどうぞ。

東京藝術大学 | 東京藝術大学「Study of BABEL」展開催(平成29年4月18日(火)~7月2日(日):入場無料) 「バベルナイト」開催! (平成29年5月12日(金)~ 入場料無料) 

 

参考図書『芸術新潮』2017年5月号

ここから先は雑誌に興味ある方だけ、どうぞ。

芸術新潮 2017年 05 月号

芸術新潮 2017年 05 月号

 

 

 初めて買った『芸術新潮』大変おもしろかったです。

図録を買っても読みきれないし、1333円で知りたかった情報が全部特集にまとめられているので、私にとってはお得な本でした。特集の内容をさらっとご紹介します。

 

part1 ブリューゲルの二つの『バベルの塔』にズームイン

今回来日した絵の他に、もう1枚ブリューゲルが描いた『バベルの塔』がウィーンにあります。書かれた年代には5年の開きがあり、構図も異なる2つの『バベル』をズームして徹底比較しています。

今度ウィーンに行ったら、こちらも見なくては……。

 

part2 大友克洋、ブリューゲルに挑む

大友版バベルの制作風景を紹介。完成図の全体像はもちろん、細部をズームしたり、下絵も一部を紹介しています。

美術史家・森洋子先生との対談もおもしろかった。絵を描く人の目線と、研究者の目線はやはり違っていて、活発な議論が交わされています。

 

part3 ブリューゲル以前、ブリューゲル以後《バベルの塔》大集合

11世紀~20世紀までの代表的な《バベル》図版をずらりを並べて解説しています。

こういうのを掲載するにも、いちいちお金と、掲載許可を取る手間がかかってるんだろうな〜。だから図録的なものってお高くなっちゃうんですよね。この号も破格の金額なんじゃないかと思うけど、会場ではかなり売れているだろうから黒字なのかな。

見る側としては、同じ題材で違った画風の絵がずらり並んでいるのを眺めるのは楽しい!

森洋子先生のエッセイは難しいけれども、宗教的な背景は解説を読まないとわからないので、ゆっくり読んでます。

 

レポートは以上です。

美術展って混んでるし、集中力を要するから、そうしょっちゅうは行けないんだけど、せめて年2回は行きたい。芸大で開催中の「雪村」もかなり気になってます。

追伸:雪村はこの記事を公開した5/21が最終日だったそうです。間に合わなかった〜。