前回の話
2018年11月、契約していたアパートの退去に際し、敷金から2万円の事務手数料を引かれました。そのことに対し、1通の書状を送って取り戻した話をしました。
書類を送ってから何事もなくすんなり支払われたわけではなく、電話で8分間の攻防がありました。私がどんなことを言われたのか、ここに紹介します。
お困りの方は参考までにご覧ください。
退去時に2万円もの「事務手数料」を設けている管理会社の言い分
管理会社:この事務手数料というのは、実は「重要事項説明書」に記載のあることではあるんですが……
私:そうなんですか?(書類を確認する。)あ、ほんとだ!
管理会社:もし、ご納得いただけないようでしたら、どうでしょうか。当社と〜〜様で「折半」という形ではご納得いただけないですか?
私:(一瞬ひるむ。)それは、本来大家さんが負担するべき金額なんじゃないですか? なぜ私が負担しなければならないのか、納得いきません。この「事務」というのは一体どういうことを指しているんですか。
管理会社:これは違法ということではなくてですね、当社の方でも調べまして「家賃の数パーセント程度、いただくものは妥当である」ということで設定している金額です。
内容的にはハウスクリーニングですとか、エアコンクリーニングの業者の手配など、いろいろな事務がかかわってきます。
私:それを私の方で負担しなければならないというのは納得いきません。ハウスクリーニングの費用は別途お支払いしているわけですから、その手配は大家さんがするべきことで、〇〇エステートさんが代わりに手配することの手数料も、大家さんが支払うべきではないですか。
管理会社:どうしてもご納得いただけないでしょうか……?
私:納得いかないですね。金額も法外だと思いますし。
管理会社:わかりました。そういうことでしたら、当社としましては違法ということではないですが、ご契約時に「重要事項説明」で説明したきり説明も不足していたということで、今回の2万円を返金さしていただきたいと思います。
私:そうですか。大変申し訳ないですが……。
管理会社:いいえ、とんでもないです。今後もですね、入居者様に対し、充分な説明をおこなっていき、適切な形で管理業務をおこなっていきたいと思います。
以下略。
私の感想
相手は個人の不動産屋さん。老獪です。いでたちは上品だし、話し方も終始慇懃。
だけどね、こっちはあなたが立会いのときにピカピカの高級車でやってきたことを根にもってるんだよ!(つまり、契約、更新、解約時にわけのわからん名目で2万円ずつ徴収したりという、あこぎな手口で蓄財していることに反感を持っているわけです。)
私の方は「重要事項説明書」に書かれていたことなんて、すっかり忘れていました。
そこは分が悪かったけれども、説明を受けたからといって、不合理な手数料を払いたいわけではない。
個人的に「事務手数料」として納得できるのは2,000〜3,000円です。ビタいち払いたくないということではなく、もしお電話で「5,000円でどうですか?」などと言われたら、一応は譲歩するつもりでした。
交渉したポイント
- 事務手数料の内訳は一体なんなのか?
- 本来大家さんの払うべきものでは?
- 金額が(取り締まるための法律が明確にはなかったとしても)法外ですよね?
この3点を詰めて、交渉しました。
法外な事務手数料を設けている管理会社の弱み
〇〇エステートにしてみたら2万円なんて端金。はなからそんな金額で私と争うつもりはなかったのだと思います。
それよりも、調査機関などに通報されることを避けたかったのでは?
「この事務手数料は違法ではないですよ」「ですが、入居者様に誤解がないように運営方法は見直します」と念を押されました。
( そんなのは口先だけで、今後も手数料を減額する気はないでしょう。退去時にクレームした件も、訊いてみたらしゃあしゃあと「忘れてました。やってません」と言われましたもん。)
書状に「不動産適正取引推進機構」に相談したことと「法的措置を検討します」と添えたことが効いて、今回スムーズに解決できたのだと思います。
2万円の手数料が合法か、否か?
聞くところによると、管理会社は宅建などのルールが及ばない、いわば無法地帯になっているそうです。ということは「事務手数料」をいくらに設定しようが個々人の裁量ということになるでしょう。規制がない以上は、合法的よね。合法的。
だけど、事務手数料が100万円だったら、いくらなんでもおかしいと思うでしょ。同様に「2万円、ちょっとおかしいんじゃないの?」と思ったら、その内容について質問してみたらいいと思います。
〇〇エステートは「家賃の数パーセントなら……」と言っていましたが、2万円って8万円の家賃の25パーセントですよ。暴利じゃないの、ねえ。
まとめ
- 契約書にない不審な手数料を課された場合は、内容について質問してみよう。
- 管理会社には宅建などのルールが及ばないため、違法性をつつくのは難しい。業界団体が設けている相談窓口を利用して、どのように交渉できるか相談してみるのがお勧め。
相談窓口と、管理会社に送った書類のテンプレートは前の記事に紹介しました。お困りの方は、こちらもあわせてご覧になってみてください。