なにか新しいこと日記

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私のBOOK OF THE YEAR 2024

2024年は読書が捗った。

  • 文字の本 90冊
  • マンガ 142冊(概算)

学生時代はダヴィンチのBOOK OF THE YEARに投票するぐらい本好きで、かつ、新しい本をザクザク読んでいたのに……社会に出て20年、そんな余裕は失くしてしまった。

2015年に始めたこのブログでさえ「BOOK OF THE YEAR」として振り返った記事は一つもない。昨年『2023年に読んで良かった本』という形で、なんとかまとめた程度だ。

something-new.hatenablog.com

新しい本を読めなかったのでそうしたのだと思うが、2024年は比較的新しい本、話題になった本を読みつつ、連載中のマンガもいくつか追ってきた。

この記事では、久しぶりに「私のBOOK OF THE YEAR」を選んでみたい。

(お断りしておくと、順不同で、なるべく刊行年が新しいもの・最近話題になったものという条件で選んだ。)

1. ライティングの哲学

2021年刊行。
パートナーがおもしろいと言うので私も買って読んだ。

単純に読み物としておもしろいし、書くときの苦労に素人ながら共感できる点が多い。
千葉雅也、読書猿のように書き慣れていそうな人であっても、これほど書けなくて苦労するのか……と思えば、自分が書けないのは当然だとわかり、余分な力が抜けた。それだけでも読んで良かった。

 

2. スマホ脳

2020年刊行。
ブログで紹介している人がいて読んだ。
2021年、ベストセラーになり中央公論新社主催の「新書大賞」5位にランクインした。

いかにスマホの「通知」が有害か(日中の集中力を奪い、睡眠障害を引き起こし、SNS上の競争によって人々を落ち込ませて抑うつ状態にする)が微に入り細に入り書いてある。
私も息を吸うようにTwitterを開いて書き込むのが習慣になっていたが、これを読んで、いくつかのデバイスからTwitterを消し、LINEの通知を1台に絞った。おかげで少しは読書時間が増えた……かな?

 

3. 批評の教室

2021年刊行。
シェイクスピア、舞台芸術、フェミニズムを専門とする研究者で批評家の北村先生の本。批評の入門書としてちょうどいいと思い、パートナーに勧めて自分も読んだ。

この本もおもしろかったけど、北村先生ははてブロをやっているのでそちらを購読すると、毎日のように映画や演劇の寸評が更新されている。お忙しい方なので、ブログは20〜30分で書ける量と決めて書いているのではないかと思う。
私としても1〜2時間でこのぐらいのボリュームが書けたら理想だ。以前よりブログにかけられる時間が少なくなった分、「簡潔に、スピーディに書く」ことを意識するべきだと気づかされた。

 

4. 「叱れば人は育つ」は幻想

2024年刊行。
パートナーの健康診断を見て、あまりの結果にハアアアアア??となって(内容は個人情報のため秘す)散々叱ったら、しゅんとしていた。
「あんなに叱ってかわいそうだったかな」と少し気が咎めた後、Twitterで見かけたこの本を買って読んだ。

こどもを叱るのは教育的にはまるで効果がないそうだ。
叱って意味があるのは、緊急にストップしないといけない、危険なとき。例えば車道に飛び出したり、本人や他人に危害が及びそうなときだ。
そうでなければ話し合いによって問題の所在を確認し、どうしたら解決できるか本人の意見をたずね、「なにか手伝えることはあるか?」と訊くぐらいがよいと、教育関係者の意見が紹介されていた。
これって、もっと早く知りたかったな! こどもの教育だけでなく、人間関係の基本だと思う。

 

5. 赤と青のガウン オックスフォード留学記

2015年刊行、2024年文庫化。
Twitterでバズったことから文庫化され、話題になった本。

私と同年代のプリンセス、彬子女王によるオックスフォード留学記だ。
日本にいればどこに行くにも護衛がついてまわり、人々に注目される窮屈なご身分。それがイギリス留学にあたって護衛が外れ、のびのびとして人生で初めて「普通の人」並みの暮らしを味わわれたそうだ。

彬子女王は教養が高い上に、ユーモアがあるので読んでいて楽しかった。

ご専門は「日本美術」だ。現在の日本美術史の基礎は、ある英国人がつくり上げた土台の上に成り立っているため、英国博物館が収集した三万点からの古美術品を紐解きながら、英国で学ぶ必要があったということだ。私は美術に興味があるので、一層、おもしろかった。

 

6. 辞書になった男

2014年刊行。2月に読んだ『三省堂国語辞典のひみつ』の中で紹介されていたから流れで読んだ。

『新明解』と『三省堂国語辞典』。なぜ、一つの出版社から二つの国語辞典が出ることになったのか……読み始めたらドラマがおもしろくて引き込まれ、一気に読んだ。辞書を作るのにここまでドラマがあるとは。実にスリリングだ。

昔の辞書には単なる言い換えに終始し、その言い換えられた言葉をさらに引いてみると元の語句が書かれているといった堂々めぐりの記述があったものだが(私がこども時代に使っていた辞書にもあった)山田忠男先生はそこから脱却しようとして新しい辞書を作った。それが『新明解』だそうだ。

 

7. ネオノミコン、プロビデンス 全3巻(共にアメコミ)

2021〜2024年刊行。
パートナーが1作目を持っていて貸してくれたので読んだらハマってしまい、あとの巻は自分で集めた。アメコミ自体が比較的高価なもので、しかも、元ネタがラブクラフトだから翻訳者は大変な苦労をしたと思うが、それだけの価値がある大傑作だ。
私はラブクラフトを読んでいないので、このシリーズを読んだ後、田辺先生のマンガを読んで入門した。

この先に深淵が広がっている……。

とても一口には紹介し切れないので、そのうち、よく理解したら記事としてまとめたい。

 

8. Shrink!〜精神科医ヨワイ〜(マンガ)1〜14巻以下続刊

連載中。(2025年1月時点)
精神医療を扱った連作シリーズ。毎回、1人の患者を中心としてケーススタディとして精神科領域の疾患であったり、症状を紹介、治療の過程を描いている。

エンタメとしてもおもしろいし、取材して描かれているため、内容にもある程度信頼がおける。
私自身、家族に高次脳機能障害の患者がいて、精神疾患は身近な問題としてとらえていたが、自分の中にも無知からくる偏見はあるし、高次脳以外のほかの病気のことなんてこれっぽっちも理解していなかったんだなーとマンガを読んで気づかされた。

うつ、パニック障害、発達障害など。比較的身近な症状から始まるのでとっつきやすい。多くの人に読んでほしい作品だ。

『Shrink!〜精神科医ヨワイ〜』13巻より

 

9. 銀太郎さんお頼み申す(マンガ)1〜6巻以下続刊

連載中。(2025年1月時点)
着物文化をテーマにしたマンガ。東村作品はどれも好きだが、中でもこれが一番好きかもしれない。
特に、主人公さとりが結婚披露宴のゲストとして招かれ、振袖を着る第19回。感動した!
今時、成人式でもないのに振袖を着ると「悪目立ちするのでは……」と心配したり、他人から悪し様に言われるのではないかと不安になるものだ。←私自身、10年前のことだが、イヤなことを言われた経験がある。
そんな風潮の中で着物文化を楽しみ、未来に伝えていく上で、どういった態度でのぞむのがいいか、東村先生なりのアンサーが描かれている。着物好きな人、着物文化に興味がある人にぜひ読んでほしいマンガだ。

『銀太郎さんお頼み申す』5巻より

 

10. ここは今から倫理です。(マンガ)1〜9巻以下続刊

連載中。(2025年1月時点)
『Shrink!』と『ここは今から倫理です。』は、はてなブログのよしきさんという人が勧めていたから読んだ。

倫理や哲学の思想が人の営みにどういうふうに役立つのか、高校生を中心としたケーススタディとして描かれている。毎回主役となる学生が入れ替わり個人の悩みが語られるのだが、前に登場した人物が級友として物語に関わることによってそれぞれの人生が相互に影響し、人物の違った側面が見える。群像劇としてのおもしろさがある。

指導者というよりはチューターの役割を果たす高校教師の高柳は、なにがしかの仄暗い背景をもつ、ミステリアスな人物として描かれ読者の興味をそそる。彼が授業のはじまりに「倫理を始めます」と宣言する繰り返しのフレーズが決まっているのが、タイトルと呼応していて、カッコいい。

『ここは今から倫理です。』7巻より

お題「BOOK OF THE YEAR 2024」

追記:久々にお題を作ったので参加者を募集します。
2024年1年間に読んだ本の中でベストを1冊でも2冊でも選んで、記事を書いていただけたら読んで拡散しますので、自由に参加してください。期間は2025年2月28日までです。