ジョヴァンナです。こんにちは!
池袋にある古代オリエント博物館を見学してきました。
お客様にアート好きの方がいて方々のチケットを下さるので、毎回は無理だけれどたまに行って感想をお伝えしないといけない、そんな状況です。仕事が休めたら、もっと行きたいのですが……。
今回は企画展ではなく収蔵物を中心に見せていくコレクション展でした。
石みたいなのを動物の形に彫った10~15mmくらいのお守りが大量にあって「おお、細かい!」となりました。穴に紐を通して、数珠みたいにジャラジャラいっぱいつけてたのかな。
単なる飾りではなく病気や災害から身を守るという意味において、古代の人はまじないに熱心だったんでしょうね。
目の形をしたお守りもたくさんありました。
トルコの土産物として青いガラスの目玉のお守りが有名ですが、あんなのとは形がちょっとちがいます。石などをアーモンド形に彫っている。
古代オリエントの「目」へのこだわり
古代オリエントの人は、他人のよこしまな視線を跳ね返すために目の形のお守りを作って身に付けたそうです。
その説明書きを見たら、中学生の頃に読んだ中島らもの小説『邪眼』が脳裡によみがえりました。あの中に書かれていた「邪眼信仰」は本当のことだったのか……。
エジプトのお守り「ホルスの目」も元を辿れば似たようなことなのかもしれません。
エジプトのコーナーにはミイラに被せるマスクが展示されていました。金の塗装は剥がれてボロボロになっているものの、目の装飾だけは内側から嵌め込まれた石が今も光を放っている。アイラインには黒い石が使用され、美しく太くまぶたを縁取っています。
目力が強い!
古代エジプトでは太陽光線を遮りトラコーマなどの眼病を防ぐため、抗菌性のある鉱物系の顔料を用いてアイラインを黒々と引いていたようです。案外、実用的なメイクだったんですね。
ツタンカーメン王と出会う
ツタンカーメン王のミイラ(レプリカ)もありました。棺の形をしたケースに納められ、透明のアクリル板越しに一部がのぞけるようになっています。
ご尊顔を拝して、ゾクッとしました。
レプリカとわかっていながら「ああ、本当に実在した人なんだ……」って実感した。エジプトまではとても行けそうにありませんから、これまで自分には関係ない人と思ってました。
私より身長が高いのが意外だった。亡くなったときは17~18歳と言われています。帰宅してから、山岸凉子先生の『ツタンカーメン』を読み返しました。
山岸凉子作『ツタンカーメン』潮文庫全3巻
この作品はイギリス人ハワード・カーターが未盗掘の王墓を見つけ出したいというロマンを抱き、執念をかけて7年間掘り続け、最後の最後に歴史的大発見をするまでの軌跡を描いています。出資者となった伯爵カーナボン卿が、人並ならぬ情熱を傾けハワードを支援し続けた人間模様であるとか。当時のエジプト人たちが遺物が海外に持ち出されることをどのように感じていたのか。また、盗掘や闇取引がどのように行われたかというご当地の事情も含めて描いている。
一部オカルト、シャーマニズム的な描写もありますが、決してオカルト一辺倒ではありません。「ファラオの呪い」と呼ばれたものはどのようなメカニズムで起こったのか、科学的な解釈も合わせて紹介されています。
伝記作品や神話を描くときの山岸先生は本当に細かくお調べになっていて、凄い。絵柄も緻密で、ツタンカーメンの墓に残された宝物などは写真にも負けないぐらい、こだわって詳細に描かれています。
王が眠る玄室を含めた4つの部屋同士のつながり。また4重の厨子に覆われた石棺の内部には黄金の人形棺があり、人形の棺もまた3重の入れ子になっている。それらをカーターが設計した特別の滑車装置によって慎重に取り外した後、最後に現れたのが黄金のマスクを被った少年王のミイラでした。
あまりに詳しく描かれているので、マンガを読んだらある程度満足してしまいました。が、やっぱり実物を見たら凄いんだろうな~と今回感じました。
2012年に『ツタンカーメン展』が来日したときは、王の臓器を納めたカノポス容器や大量の副葬品が公開されたと聞きます。黄金のマスクや石棺はエジプト国内から門外不出だそうで、これはご当地まで見に行くしかないですね。今はとてもエジプトまで見に行く気力がないのだが、今世本物の王にまみえることができるだろうか……。
古物には全く興味がなかった私ですが、いただいたチケットを持ってフラフラと見に行ったら、それなりに楽しめました。
こういうものはある程度の素養やセンスがないと、面白くもなんともないでしょう。年を取るごとに少しずつ賢くなって、これまで興味を持たなかったことにも目が向くようになってきたってことかな。
あれもこれもと手を出して全てが中途半端になるのは避けたいですが、イベント、アートには、これからもなるべく気軽に首を突っ込んでみようと思います。