母と私の四国旅行3日目。琴平から松山に向かう途中で「瀬戸大橋」を見に行った。
瀬戸大橋を渡るのは、私にとって長年の夢だった。
瀬戸大橋は1988年に開通。上が高速道路、下が鉄道の二階建て構造だ。上の方が遮るものがなく景色がいいというが、通行料も高い。今回は鉄道で行って戻って橋からの景色を楽しみ、さらに香川県側にある「瀬戸大橋記念公園」から橋を眺めることにした。
特急「南風」乗車(7:33)
朝、琴平駅から特急「南風」に乗車した。
アンパンマンの作者やなせたかしは、東京生まれ高知県育ち。その縁で高知から岡山までを結ぶ土讃線(どさんせん)ではアンパンマン列車が走っている。
われわれは香川県から海を渡って岡山県の「児島」まで行き、またすぐに列車に乗って今度は香川県の「坂出」に戻る。途中駅の「善通寺」「多度津」「丸亀」「宇多津」からは通勤客がたくさん乗って来て、なるほど、このへんから岡山は通勤圏内なんだなと知った。
母は列車の中でも熱心にポケモンをやっていた。特急駅の近くには大抵「ヤドン」が取れるマンホールがあるらしく、停車するたび「取れた、取れなかった」と一喜一憂していた。
瀬戸大橋を渡る(8:03)
私は「宇多津」の先からは立ち上がって、車窓の景色を楽しんだ。
「宇多津」から「児島」まで特急で10分。その間、ほぼずーっと「瀬戸大橋」だ。
すっごく楽しくて大興奮した!
ガタンガタンと大きな音がするのも心地いい。小さな島をいくつも越え、小山が紅葉しているのが見えたり、遠くに霞む島なみや、行き交う船。ぐるぐると弧を描く高速道路の景色もおもしろい。
クライマックスは、橋の終わり、岡山側がトンネルに突っ込んでいくのに驚いた。そうか、これが鷲羽山(わしゅうざん)か。瀬戸大橋が見えるビューポイントを探したときに「鷲羽山展望台」まで徒歩60分とか書いてあったので、どんなところかと思ったら、トンネルを作らなきゃいけないぐらい、しっかりと山だった。
デニムの生産地として有名な「児島」の駅では、自販機やエレベーターにデニムの柄が描かれていておもしろかった。
時間があれば、駅を降りてジーンズストリートを見に行きたかったが……この後、松山まで行くのでゆっくりしてはいられない。(岡山・広島はまた別の機会に改めて訪れるつもりだ)
帰りは快速マリンライナーに乗車した。
沿岸部は石油化学コンビーナートがある。いいね〜。
坂出駅(8:34)
帰りは、行きに通った「宇多津」ではなく高松側に一駅戻って「坂出」へ。
窓口で「児島」からの未精算分を精算してもらい、下車した。
駅のリトルマーメイドで朝食を取った。リトルマーメイドって美味しいよね!
実は、この日、ホテルの朝食会場に朝7時のオープンに合わせて行ったら長蛇の列で、30分以上待たされそうだったのであきらめて、予定より早く出てきたのだ。観光地のホテルってそういうもんかね〜。お客が集中するだろう朝イチの時間帯に食べたいと思ったら、ちょっと早めに行って待っているぐらいじゃないとダメなのかも。
まあ、でも、ホテルの規模に対して朝食会場が小さすぎるから、繁忙期はもう一つぐらい会場を開けてお客をさばいているんだろう。12月の1週目なんて閑散期は経費節減のため、会場を減らしてたんじゃないかな?
朝食代を払っているのに食べはぐれた母はプリプリ怒っていた。(なのでここでは私が支払いを持った)
坂出駅の観光案内所でコインロッカーの場所を聞いて、スーツケースを預け、タクシーに乗車した。
瀬戸大橋記念公園(9:47)
瀬戸大橋記念公園は「宇多津」「坂出」両方の駅から離れており、ちょっと不便な場所にある。開通当初はシャトルバスなんかもあったのかもしれないが。今や訪れる人も、そう多くはないのだろうか。バスは本数が少ないし、タクシーで行くのが一番便利だ。一部の時間帯は「乗合タクシー」の選択肢もある。(後述)
閑散としていてさびしい場所だったけど……
瀬戸大橋記念館(10:00)
立派な記念館。だけど公営なので入館料が安かった。
ここは行ってよかった。
橋の建設について、電動式の模型やパネルを用いて詳しく解説しており、じっくり見ていると1時間ぐらいあっという間に経ってしまった。私は解説を読みながら写真を何十枚も撮って楽しんだが、母は退屈だったかもしれない……。適当に眺めてあとはポケモンをやっていたようだ。
海底に穴を掘った後、強大な型枠「ケーソン」を沈めて、この中にコンクリートを充填し基礎を作る。
直径1mもあるケーブルを張り巡らして「吊り橋」を作っていく。夜には工事用の照明が光のツリーとなって輝き、作業が続けられたそうだ。
背景が夕闇から夜空に移り変わり、ケーブルが点灯するギミック。
大人が見てもおもしろい。こういう模型がたくさんあるっていうことは、きっと、小中学生が遠足で観にくるコースに入っているんだろうな。
高速道の下層には電力ケーブルと、光ファイバーケーブルを通すための専用の桁がある。
瀬戸大橋の建設をした80年代は光ファイバーが日本に導入された年代にあたり、ちょうどよかったんだろう。少し時期がずれていたら、あとから光ファイバーを通すなんていうのは困難だったかもしれない。
鷲羽山のトンネル。ここ、さっき通って来たんだよね。
2つずつのトンネルが上下2段になっている。この構造は世界初だそうだ。
記念館の外には、瀬戸大橋建設を100年前に提唱した偉人・大久保諶之丞の像が橋を臨んで立っている。
ここに橋を架けるなんていかに途方もない夢、世紀の大事業だったか……。その歴史展示を見た後では、じーんとくる光景だった。
瀬戸大橋タワー(11:00)
タワーがあるからには、そこに人がのぼれるはず。しかし、箸のように細いので「あんな狭いところにどうやってエレベーターを作ったんだろう」といぶかりながら近づいて行ったら……
着いてびっくり、なんと、箸のように細いタワーの周りにドーナツ型のゴンドラがついていて回転しながらあがっていく、聞いたこともない形式のものだった。
100人乗りのゴンドラにわたしたちだけ。貸切状態。10分間の贅沢な空中散歩だ。
ゆるやかに回転しながら108mの高さまで上がり、頂上でさらに、ゆっくり3回転して景色を見せてくれた。
さきほどの記念館で見た「灯浮標」の模型。(工事中に他の船が近づかないように安全のため、浮かべておくブイだ)実物が公園内にあると聞いた。
あれだな。デカい。
東山魁夷の作品を集めた美術館は広いグラウンドの手前。オーシャンビューだ。
このタワーにのぼるだけでも来る価値はあった。
ここもきっと開業当初は大勢の人が詰めかけたのだろう。こどもや老人も座席に座ったまま安全に昇降して、居ながらにして全方向を見物できるのはいいアイデアだ。
東山魁夷せとうち美術館と「乗合タクシー」(11:27)
最後、時間が少し余ったのでついでに美術館も見学した。
というのも帰りは「乗合タクシー」(予約制)を利用するつもりで、時間が決まっているので。
「乗合タクシー」の停車場は美術館の駐車場の中にある。こんな札が立っているだけの場所だ。12時台に乗れそうだなと思って電話で予約した後、美術館に向かった。
ちなみに、行きのタクシーは2人で2300円払ったが、乗合タクシーなら1人600円。他にお客がいれば4人まで乗合になるのだろうが、人数が少なくても料金は定額だ。
東山魁夷は神奈川県生まれ、兵庫県育ち、祖父が香川県坂出市の櫃石島出身という縁で市内に美術館が作られたようだ。
美しい自然を描いた作品が多く、猛々しい名前に反して穏やかな作風だ。色彩感覚豊かで人気があったのもわかる。30分ぐらいでさっさと鑑賞して、余った時間はラウンジで流れるビデオを見た。美術館に併設のカフェがガラス張りのオーシャンビューでいい雰囲気だったので、もうちょっと余分に時間があったら、ここでコーヒーを飲んでゆっくりしたかったな〜。
3日目のスケジュールまとめ
この日は早朝7時から活動し、分刻みで行動することによって、行きたいところに全部行った後、15時過ぎに松山に至った。
結果、松山での行動時間が少なくなってしまったが、瀬戸大橋はどうしても見たいところだったので今回行くことができて満足だ。
- 7:15 ホテル発
- 7:33 琴平駅、特急「南風」出発
- 8:12 児島駅到着
- 8:19 児島駅、快速「マリンライナー」出発
- 8:34〜9:30 坂出駅にて朝食、休憩
- 9:47 瀬戸大橋記念公園に到着
- 10:00〜11:00 瀬戸大橋記念館を見学
- 11:00-11:10 瀬戸大橋タワーに搭乗
- 11:27〜12:05 東山魁夷せとうち美術館を鑑賞
- 12:15 乗合タクシーに乗車
- 12:35 坂出駅に到着、休憩
- 13:04 坂出駅、特急「いしづち」乗車
- 15:17 松山駅に到着