2023年12月。四国旅行初日にいきなりこんぴらさん奥社までのぼり、旅の主目的を達成した。
2日目は雨の中、参道の商店街を散策したり、ホテルでのんびり骨休めして過ごした。
この記事は四国旅行、2日目の記録である。
出発前
ホテルの屋上からは見通しがよく、われわれが前日に降りた琴電の駅の200m先にJRの駅が。高灯籠もよく見えた。
「また夜に高灯籠を見にこよう」と朝の時点では話していたのだが……
商店街を歩く
この日は観光案内所でもらった『こんぴら観光案内図』にしたがって歩いた。
この地図が見やすくて大変便利だった。転載・引用禁止と書いてあるため、画像は掲載せず、いつもの通り、自分で作成した地図を載せている。
前半は赤いルート。田中屋から新町の商店街、鞘橋を経て金丸座まで行き、後半はそこから折り返して青いルート。同じ商店街を通り、駅まで歩いた。
まず、1日目の夜に来た『骨付鳥 田中屋』の前を通った。
店内に芸能人の色紙がたくさんあった。こう言っちゃあ悪いけど、ほかに行くところがないんだよね!
由布院のときもそうだったけど、夜、居酒屋しか開いていない観光地って「また行きたい」という気持ちになりにくい。そこが残念なポイントだ。
お酒を飲まない人や静かに食事したい人は、ホテルで夕食をあらかじめ予約しておいたほうがいい。(当日夜予約しようとしてもできなかった)
そこから駅の方に向かい、川の手前で脇道に入る。この小さな通りに浪花堂餅店がある。
しろ・よもぎ・きび・あわ・黒豆の五色餅が名物だ。ここで餅を買って次の日に食べればよかったな〜。
少し行くと栄橋。ここを渡る。
栄橋(黄)・玄孝橋(赤)・大宮橋(白)と北側に向かって三色の橋が見えた。
近距離にいくつも橋が掛かっている。過去には栄えていたであろうエリアも、今は静かなものだ。
栄橋の南にあるのが一之橋。ここを西に向かえば表参道。東に行けば「新町商店街」につらなる。
橋のたもとに小さな公園があって……
ヤドンがいた。
香川県は「うどん県」に「ヤドン県」をかけて、ヤドンのマンホールを数多く設置している。この日、母は10分おきに何度も行ったりきたりを繰り返して、いくつも友だちに配ったらしい。(旅行に来ると一日中ポケモンばっかりやっているのがいつものことだ)
「新町商店街」にやって来たのは9時半。まだ早すぎる時間帯ではあるがそれにしても暗い、暗すぎる。
母が行きたいと言った琴平文具店。この日は定休日だった。
ひまなので川に沿って南側に少し歩いていった。
古い酒屋があった。
汐見橋の交差点近くに「鞘橋」という大きな看板があり、木造の古い橋が見えた。
屋根を持つアーチ状の構造は全国的に見てもめずらしいものだそうだ。しめ縄のすぐ上には龍の彫刻が見える。(この辺りでついに雨が降り出し、写真が白く煙ってしまった)
この橋は洪水により幾度も流出。現在のものは明治2年に建造されたものだ。明治38年に現在の場所に移築された後は、金刀毘羅宮の神事のときのみ使用され、普段は渡れないように封鎖されている。
裏参道
観光案内図に書いてある目印の『アサノ』はこちら。
この横を入っていくと「裏参道」になっており、坂道をタクシーなど車両で上がっていけるようになっている。
すこしのぼると「琴平町文化会館」(1階に歴史民族資料館)がある。
残念ながら、こちらも火曜は定休日。
さらに坂を上がると「琴平町公会堂」があった。集会や催しに使用されているが内部は一般公開されていない。
金丸座・旧金毘羅大芝居
この上が現存最古の芝居小屋「金毘羅大芝居」だ。
「小屋」という名称にはふさわしからぬ立派な佇まい。内部の設備も見事なものだった。
雨で、われわれしかお客がいないのでガイドさんが付きっきりで案内してくれた。オレンジのはっぴを着たおじいさんで、ユーモアをまじえて詳しく案内してくださり楽しかった。(通常は入り口から花道まで所定のコースを案内してくれるだけのようだ。入館は有料、ガイドは無料)
庶民は正面のにじり口から頭を下げて1人ずつ入り、木戸銭を払うと、下足部屋で草履をぬいで中に入る。(現在はスリッパが用意されている)金持ちや身分の高い人は別の入り口から入る。
内部は、思わず「わあっ」と声を上げるぐらい、見事な劇場だった。
現在でも毎年4月に歌舞伎の興行がおこなわれている。
そのときは、間の仕切りを外し、2マスに5人着席。江戸時代の人は小さいので1マスに4人着席だそうだ。
後ろから見て右側が貴賓席。真ん中の少し広い座席が最も身分が高い人を通すためのロイヤルシートだ。
平成9年には天皇陛下(当時は皇太子殿下)もこちらで観劇なさったとか。
天井からぶら下がる提灯は、家紋によって出演者をあらわしている。(コロナで4年間興行を休み、家紋はその直前の2019年のもの。)
出演者を調べてできる限り記したが、お作法(どの順序でならべるかなど)がわからないので上記は不正確かもしれない。
ガイドさんが「市川中車、香川照之さんはオモダカ」と説明するのを聞いて「『銀太郎さんお頼み申す』に出てきたぞ」と思い出した。東村先生は中車をひいきしているのかもね。
天井の格子は「藤棚」と言う。この上から紙吹雪を散らしたりするのに使われる。
舞台上のさまざまな仕掛けを聞くと、おもしろくなっちゃって、ここでやる歌舞伎を実際に見てみたい!と思った。
舞台は円形のはめ込みになっていて、下から人力で回せるようになっている。花道には「空井戸」というのがあって池や井戸が登場するときにここを使って人が飛び込んだり、幽霊がニュッとあがってきたりする、水辺の景色を表現するなど。
歌舞伎の「お約束」を知ることによって演出の意味がわかる。ある程度前提知識があったほうが、より楽しめそうだ。
この後、地下も見学させてもらった。いわゆる「奈落の下」だ。
周囲の柱に1人ずつ人夫がついて、「せーの」で押すと舞台が回転する。24個のベアリングによって、役者が乗った重い舞台がいとも簡単に回転する仕組みだ。
(ここに観光客を案内すると「押してみたい!」という人が続出したため、現在は動かないようにロープでくくられている)
地下の石積みも見事だった。
この時代に「広い地下室」を作ったことが、まず、すごい。
楽屋は役者ごと、座長、大部屋俳優、女形に分かれ、用意されていた。
ここは元々来る予定ではなく前日に乗ったタクシーの運転手さんに勧められて見学することにしたのだが、来て良かった。楽しかった!
セルフうどん いわのや
来た道を戻り、新町商店街を抜けて、駅の近くの「セルフうどん いわのや」で食事をした。
小さな店だが、昼時賑わっており地元の人でいっぱいだった。
「セルフ」といっても注文は丸亀うどんみたいな形式だ。
うどんを注文し、茹でてもらっているあいだに天ぷらは自分で選んで最後に会計をする。なんだかよくわからないままゲソ天を取って、カウンターにあったはさみで切って、うどんといっしょにいただいた。
冷えた体にうどんのだしがしみた。
琴平駅周辺
駅まで歩く途中に空き地があった。ここで初めて気付いたのだが……土の色がなんだか黄色くない?
見慣れた土の色と違う。黄色いのだ。関東ローム層が「赤土」だと言われる意味を初めて理解した。
JR琴平の駅。ここにも灯籠がたくさん。夜は灯りが灯っているということかな。
ちょうどホテルの送迎バスが来ていたので、帰りは楽できた。午後は昼寝したり、のんびりして過ごした。(母はまたポケモン集めに行ったりしていたらしい)
コン・タパス
ホテルの夕食は予約制だそうで入れず。(アゴダで予約したからそこまで詳しく見ていなかった)
観光案内所でもらったチラシに、夜、食事できるところをまとめたマップがあったのでそれを頼りに雨の中歩いて、近所の「コン・タパス」を訪ねていった。
焼きたての香ばしいパエリアが、ありがたかった。母がパエリア好きであることをこのとき、初めて知った。
店のちょっと行った先に「ヤドンのマンホール」があり、食事を待つ間に母は何度も行き来してヤドンを集めていた。この日だけで随分の数、集めたんじゃないかな〜。よくやるね。
フランスベッドの医療用マッサージ実演コーナー
ホテルの一角にフランスベッドの医療用マッサージ機の実演販売コーナーがあり、食後にふらっと訪ねてやってもらったら、なかなか良かった。(お試しは無料)
セットで何十万もするし、そもそも、こんなバカでかいもの置くスペースがないんだけどね。お金持ちで、家にスペースがあるならいいと思う。(私はマッサージには毎年相当の金額を使っていて、かなりうるさいほうだが、それでもこれはいいものだと思った)
足のマッサージ機だけでも欲しいぐらいだ。他のメーカーとは一線を画す高性能。足の裏から、甲から、アキレス腱から、ローラーが付いていて全方向から圧をかけて揉んでくれる。
セールストークもお上手だったが「明日まで2台限り、早い者勝ち!!」と客を煽る手法、不動産営業と同じ手口でそんなの引っかかるわけないじゃん。(母が)名刺とパンフレットだけいただいて部屋に戻った。おもしろい体験だった。