なにか新しいこと日記

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浅田真央アイスショー『BEYOND The Final』千秋楽公演を観てきた!

真夏のアリーナ立飛。滅多にない機会だからと奮発したら前から4列目、正面(ショートサイド)の席だった。ほんの数m先にリンクが見える。
冷蔵庫の中みたいに涼しく、気持ちがよかった。夏で良かった、最高じゃん。

アリーナは三方囲むように席がある。キャストは順繰りにぐるぐる回ってくるから、どこに座っても正面でポーズを決め、笑顔をふりまく姿が見られる。機会が公平になるよう考え抜かれているのも感じたし、全員をこんなに間近に見られるなんて。アイスショーってお得だな!


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金色の燕尾のジャケットを着て、演者登場。
シルクハットで足を揃えて踊るのはラインダンスってやつかな。めちゃくちゃかっこいい! これが観たかった!
燕尾の裾がひるがえり、ギラギラ光る。
今までシルクハット被ってダンスしてるのを見ても、疑問に思わなかったけど、あっちこっちへ滑ってもハットが落ちないのは、どうなってるんだろう。キープ力……?

少し後の男性のペアでの演技で、一人がスピンしている間に「あっ、帽子がない!」
いつの間にか隅で待機しているもう一人の手にあり、スピンが終わるなりスマートに返していた。今度は逆に、今スピンした人が帽子を預かる番。このような動作で「次はスピンだ」と予告されるのがおもしろい。先にスピンしてたのが山本恭廉さんだったかな。高速で美しいスピンが印象に残った。

 

ショーでは(フィギュアと違って)背後のスクリーンに景色が映る。幕間にちょっとしたムービーが流れたり、演者の動きに合わせて花が舞い、鳥が飛び立つ。視覚効果を利用した華麗な演出だ。

初めて体験するアイスショーで、私は競技の緊張には耐えられないけどショーは大好きなんだとわかった。(フィギュアという競技に興味はあるものの全然観たいと思わなくて、理由はしくじったり転倒したりすると減点されるし、観客もがっかりする。その厳しさに神経が耐えられないからとわかった。一方、ショーなら、自分の楽しみだけを考えてリラックスできる。)

 

いくつかの演目でバレエの要素が取り入れられているのを見て、これまでバレエは一度しか観たことがないけれど、山岸凉子先生や『昴』『Do Da Dancin’!』といったマンガを山ほど読んで培ったバレエの知識が役に立つなあと思って観ていた。(バレエに興味があるわけではなく、人間ドラマがおもしろいから読んでいた)たとえ 音楽を知らなくても、あれだけ読めば衣装を見ただけで大体のテーマがわかるようになっている。便利な仕組みだ。

 

どれもこれも、衣装が凝っていておもしろく、演技の合間に見入ってしまった。
なんといっても金色の燕尾服がかっこいい! 
全員お揃いのジャケットに、女性は脚を出して、男性はパンツで。真央ちゃんだけアクセントカラーがギラギラの濃いピンク!

『シェヘラザード』のときは、ベリーダンス風のブラに腕輪にトルコブルーのハーレムパンツ。ダメージジーンズみたいにももの部分が大きくあいて肌が見えている。たぶん、風が通るようにして空気の抵抗をなくしているんじゃないか。少しマニッシュで、健康的な肌の見せ方が真央ちゃんには合うよね。

ブルーのロングドレスは『ジゼル』のミルタだったのかなー。威厳ある女王のイメージ。
ショパンの『幻想即興曲』と共に白いローブを着た精霊たちが集い、群舞し、ジゼルを囲んだ。
なんでこんな悲しい話を選んだんだろう。真央ちゃんはジゼルを演じるにはあまりにも明るく溌剌とし過ぎているように思うけど、一方で、高潔な百合の乙女のイメージもあり「ジゼルを演じたい」という気持ちも理解できる気がする。

 

そして『白鳥の湖』が始まった。
白鳥たちが湖面に伏して優雅に羽根をはばたかせる。
これ、バレエだったらなんとも思わないけど、氷の上に腹ばいになり、手足をつけたらほんのわずかの時間でも凍りつくように冷たいはず。
優雅なシーンなのに、つい、氷の温度を想像して「ヒェーーー」となった。早く、早く、立ち上がってくれ!!

その後「ジャジャーン!」悪役ロットバルトが登場。腕全面を覆う羽根が大きく羽ばたく。なんと禍々しい。迫力。
無垢な白鳥の乙女たちとこの後登場する(はずの)黒鳥の対比を際立たせるため、ロットバルトはグレーなんだな、見事な配色だと思った。

黒鳥はだれがやるんだろう。名物の32回の大回転を氷上でやるはず。楽しみに待っていたら、なんと、真央ちゃんの1人2役だった。(意外ではない)

で、出たーー!!とクルクル回る黒鳥の真央ちゃんを楽しく拝見した。

ナタリー・ポートマン演じる映画『ブラックスワン』名シーンを観たとき以来の感動。悪の魅力。異常にワクワクするところだ。

黒鳥は悪役だから、衣装は黒を基調とし、左脚が網タイツみたいなやつ。右足は黒のヒラヒラで覆われていたんだっけ。目にも止まらぬ速さで真央ちゃんがクルクル動いていくからよくわからなかったけど……。たぶん、この左右非対称性が悪役っぽさを引き立てている感じがする。白鳥の演技の端正な美しさの対極に位置するもの。

 

飽きっぽい私にとって、古典的名作の見どころをぎゅっと凝縮していろいろ観られるのが楽しい。アイスショーは私に向いてる!と思った。
キャストも一曲演技したら、続けて何曲もというわけにいかない。ソロがあって、ペアでのダンスがあって、他のメンバーが出てきて群舞になったり、その繰り返しによって一人一人見せ場が作られインターバルがあり、時々ショートムービーが流れてその間に衣装を変えたり。盛りだくさんでおもしろかった。

 

氷上ならではの効果もあったよね。
例えば、白鳥をリフトしてツーーっと水平に滑れば、まさに鳥が空を飛ぶわけ。これは凄い!

今井遥さんがタンバリンを持って、くるっと回転するごとに打ち鳴らすパートも印象的だった。シャンシャンシャンと動きに乗せてタンバリンの音を優雅に鳴らすのでうっとりした。

 

なんとなく「おもしろそうだな」と感じて抽選に申し込んだら、想像を遥かに超えておもしろかった!
浅田真央というスーパースターと同時代に生きていることをこんなにうれしく感じたことはない。
いつもテレビで見ていた競技者としての真央ちゃんは厳しい顔つきだったけど、ショーでの真央ちゃんはすっごいいい笑顔。ニッコリ、プロの笑顔で決めていて、その表情に、演技に痺れた。
彼女とすばらしいスケーターたちの演技をしっかりとこの目に焼き付けてきたよ!

 

2024年秋、新しいスケートリンクがオープンすれば、もっとアイスショーは盛り上がるはず。そのときを楽しみにしつつ、私もまたショーに足を運びたいと思った。