なにか新しいこと日記

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夕食後の読書タイムに読んだ本【2023年12月】

夕食後に自宅の図書室で毎日30分読書することにした。

この記事では、12月に読んだ本を紹介する。

1.老いの超え方

吉本ばななの父・吉本隆明の本。ばななさんが紹介しているのを見て買った。

最晩年は病気が重く執筆できる状況ではなかったそうだ。この本はライフサポート社という保健・医療・福祉の専門出版社から編集者が来てインタビューしたのを書き起こしたものらしい。

老人は精神活動は活発だけれども肉体の反応が遅くなり、動作にズレが生じる。それを若い人が「頭まで鈍くなっている」と捉えるのはまちがいだと書いてあり、なるほどと思った。

それと最終章の「死」について書いているところがおもしろかった。エリザベス・キューブラー・ロスの「受容の5段階」なんてばさっと切って捨てている。

この本は私が読むにはちょっと早すぎた。自分の親がもっと年を取って、お手伝いが必要になった頃に読むともっと実感をもって理解できそうだ。

このごろ「文庫は字がちいちゃくて読みづらい」と感じるが、それは近眼が進み手で持って読むのがつらいだけだから、机に肘をおいて読めば難なく読めることがわかった。11月28日より3日間、1.5hで読了。

 

2. 椅子と日本人のからだ

2〜3年前、お客さんと「リモートワーク用にイスを買ったんですよ」「毎日座るイスは大事ですよね」と話題になった。その頃にAmazonで買った本。

椅子の背もたれは背骨のカーブに合わせて湾曲しているほうがいい。また腰の形に沿うよう横方向にも丸い形がいい。

今年2月、パートナーのえむさんが専門店でフィッティングしてもらい、購入したチェアがまさにそういう形だ。

前半は写真が多く、解説も平易で読みやすいが、最終章の身体技法のところは抽象的な話でなにがなんだかよくわからなかった。

12月2日より4日間、1hちょっとで読了。

矢田部先生制作の椅子、興味あるけど高そうだな。

日 本 身 体 文 化 研 究 所

3.損する顔 得する顔

実験や論文の紹介はおもしろいのだが各パートの後半に必ず著者の意見が書いてある。ここのパートが読んでいて押し付けがましく、著者とは相性が悪いと感じた。

キャッチーなタイトルに反し「ブスだから損するとか美人だから得するとか、そんな簡単なことじゃないんだよ」とさとすような態度で書いている。だったら、そんなタイトル付けなけりゃいいじゃないの。

無理して最後まで読まず、巻末の「読書案内」を参考にしてここに書いてある本を読めば良かったな〜。

12月9日より3日間、55分で読了。中身の半分がエッセイ。

4. プロメテウスの罠 明かされなかった福島原発事故の真実

事故直後の情報の混乱ぶりが複雑怪奇だ。「どうしてそうなった」と思うようなことばかり。時系列で読んでもわけがわからない。もちろん、リアルタイムではわからない情報も多かったわけで仕方がない部分もあるが、それにしても情報統制と混乱、政府の迷走ぶりがすごい。

官僚組織の連携の悪さ、特にSPEEDIによる「外部被曝量の試算」という大事な情報を近隣住民に知らせるのが遅れた点について。多角的な取材によって問題を浮かび上がらせている。

原発について、今の福島について。断片的な知識しかないので、もっと情報をアップデートしたい。

12月11日より4日間、2hで読了。

5.急に具合が悪くなる

コロナ禍をきっかけに何人かの医師をTwitter(現X)でフォローしている。そのうちの1人、岩田健太郎先生が勧めていたので買った本。これまた抽象的、哲学的な問答が多くて途中まで読んで挫折していたものだが……。

哲学者・宮野先生はがん治療の主治医との面談に際し自分の母親が「先生の家族が同じ状態だったら、どうしますか?」という質問をしたのにブチ切れたという。専門職に対してあまりにも敬意がないというのだが、一般人にはちょっと厳しすぎるのではないかと思った。

その後で宮野先生が悩んでひねり出したのが「今のわたしにどんな可能性があるんでしょう?」

私に言わせれば、ほとんど変わらない質問だ。お母さんも宮野先生も求めている情報はほぼおんなじじゃない?(お母さんが「ベストの選択を絞り込んでほしい」とリクエストしているのに対して、宮野先生のほうがもう少し広く選択肢を求めている違いはある)哲学者は言葉の使い方が厳密すぎるな〜というのが正直な感想だ。

読了後に調べたら、この本が出る直前に宮野先生は42歳で亡くなっていた。私とほぼ同年代。今の年齢で重病を患い、死に近づいてくることのリアルが私には受け止め切れないように思った。

12月15日より4日間、1h50mで読了。

6. 世界の国名地名うんちく大全

  • 「ギリシャ」「イギリス」はポルトガル語だ
  • アメリカ合衆国は誤訳で「アメリカ連合国」か「アメリカ合州国」が正しい

など……

日本における外国の国名(呼び名)は変なものが多いので、本来はどう呼ぶのが正しいのか知っておきたくて買ったのだが……

ヨーロッパ諸国の成立から話が始まり、世界史の知識が乏しい私はいきなり挫折しそうになった。地域横断的な世界史の概論は飛ばして、各国の各論だけ読むことにしたらなんとか読み進められた。

途中、中東あたりから地理がわからなくなって世界地図(コンパクト世界地図帳 (地図 | マップル))を参照しながら読んだので、新書のわりに時間がかかった。

全世界の国名を読んだのって初めての経験じゃないかな。読んだはしから忘れてしまったとしても「こういう国があるんだ」と知って、地図上で一度見てみること自体に価値がある(と思う)

12月18日より、たぶん6日間、3h。

7. ウォッチメン

1988年に出版されたアメコミを、2009年劇場版公開に際して日本で翻訳し、出版したコミックス。

パートナーのえむさんはDCコミック(翻訳版)の収集家でもある。コレクションの中からお気に入りのキャラクターである「ロールシャッハが出てくるのはどれ?」と訊ね、これを読むことにした。私はバットマンには興味がない(『ダークナイト』とドラマの『ゴッサム』を途中まで履修して「いけ好かない野郎だ」と感じた)のでそういう選択になった。

主要登場人物(ヒーロー)が6人も登場する群像劇で、最初は「ゲゲッ」と思ったが、人物を覚えて文体に慣れたら読みやすかった。ビジュアルが洗練され色彩が美しく、ほとんどアニメを見るような感覚で楽しめるので、これから読んで良かったと思う。同じシリーズの続編もいくつか読んでみるつもりだ。

1人だけ出てくる女性のヒーロー(シルク・スペクター)が「ヒーローの性生活を表現したい」というクソみたいな理由で創造され、軽薄なビッチとして描かれているのが非常に不満だが、80年代だからしゃーないと言えばしゃーない。その他のヒーローの中では私もロールシャッハが好きだな。仮面を剥いだらブサイクで性格がねじくれていて、ヒーローというよりむしろ悪党のようなふるまいをしているのが、いいね。

12月26日より7日間、3h20m。

コマ割りが異常に細かくひとつのふきだしの中にみっちり文字が書かれている。その上、本編のストーリーと同時進行で『漂流者』の小説が展開していくので、普通のマンガを比べたら読むのに3倍くらい時間がかかった。