2023年10月12日『イヴ・サンローラン展』を鑑賞するため、国立新美術館を訪れた。
行きは都営バスに乗車し、新宿から乃木坂へ。帰りは青山一丁目から神宮外苑を通り、信濃町に至る道を歩いた。
この記事では私が散歩したルートを紹介する。
出発地:新宿区役所
出発地は新宿区役所(1)だ。新宿区在勤7年になるが訪れたのは初めて。
猥雑な歌舞伎町の中にあって、エントランスはなかなか素敵な雰囲気だ。藤棚(たぶん)があって、下は涼しく、ほっとする。10月とはいえ、しばらく歩くと汗ばむぐらいの陽気だ。
職員用の食堂で620円の定食をいただいた。
机には「黙食」と表示された衝立が置いてあり、食べた後にイスを整頓する職員の行動一つ取っても、人々は規律正しく統制されている。トイレの戸には「便器の蓋を閉めるだけで15パーセント節電」と書いたシールが貼られ、トイレットペーパーは向こうが透けるぐらい薄く、巻き取るのに苦労した。質素だな〜。
食後、すぐそばにある花園神社(2)を訪れた。
足場が組まれ、目下工事中。
境内では工事関係者のミーティングが行われていた。この雰囲気、ゼネコンかな。
敷地は思ったより広く、建物は新しそうだった。
神社を出ると両側に白い囲いがあって、それぞれ大掛かりなビルの工事中であった。
この日は睡眠不足でかったるく、こんなんで散歩できるかな〜と一抹の不安を感じた。しかし、時間に余裕があったのと、おあつらえむきに天気も良かったのでともかく歩き始めた。(歩いているうちにどんどん元気になっていった)
バス停が多すぎる!
めざすは、都営バス「品97」の停留所だ。
事前の調べでは曜日によってルートが二つに分かれ、どちらから乗車すればいいのかわからなかった。(公共交通機関なのに、表示の仕方が不親切だ)当てずっぽうで花園神社の前の停留所「新宿五丁目」へ行ってみると、こちらは休日ルートのほうで、平日は停まらないことがわかった。
そこで、二つが合流する「新宿三丁目」方面へ向かった。事前に調べたときは伊勢丹の交差点付近だと思ったが……伊勢丹の周りには都営バスの停留所が3つもあり、それぞれが「追分」と書いてあった。そのうちの一つ、マルイの対面にある停留所に「品97」が停まることがわかり、ここでしばらく待った。
「追分」(3)は、本来めざしていた「新宿三丁目」の一つ隣の停留所だ。この二つの間は100m。なぜ、こんなに近くに停留所を作ってしまったのか。
待っている間、向かい側に「H2水素」と書かれた黒いバスが停まったので、なんだろうと思って調べたら、水素エネルギーを利用した「燃料電池バス」だとわかった。
都内ではすでに100台以上導入されており、内7割は東京都の所有らしい。
初めて見た。乗り心地も違うものだろうか? 今度乗ってみたいな。
都営バス「品97」に乗車(20分)
バスに乗り、乃木坂へ。
車窓の風景を楽しむつもりだったのに、途中うとうとして、はっと気がついたところで慌てて予定より一つ前の停留所「青山いきいきプラザ入口」(4)で降りてしまった。
まあ、ここも150mしか離れていないので誤差の範囲だ。
青山一丁目を歩く
青葉公園(10分)
青葉公園は植栽からしてセンスがよく、しゃれている。
こんな一等地に広大な公園があって、人もまばらなのだから、つくづく贅沢な土地の使い方だと感じる。パークサイドにはタワマンがいくつも見られた。
休日はこの公園にも人が集まり、憩うのかもしれない。私には縁のない話だが……。
青山墓地を通り過ぎた。墓参客の姿はほとんど見えない。
銀座ウエストにて休憩(60分)
予期せず「銀座ウエスト 青山ガーデン」(5)の前を通りかかった。
ここにあったんだ、知らなかった!
もちろん入店。私の前に2組待っており、10分待った。
銀座の店より何倍も広く、席数は少なく、空間がゆったりと使われている。4人がけの広いテーブルに案内され恐縮した。(なので、コーヒーだけでなく青山店限定メニューを合わせて注文した)
テラス席もにぎわっている。
苦味が強く、美味しいカフェオレで目が覚めた。『怪談狩り』の新刊を読みつつ1h休憩した。
地下鉄乃木坂駅(5分)
乃木坂の駅の手前にボロい団地のような建物があり、警杖をもった警察官が1人立っていた。(先日皇居外苑で見かけたのと同じ、木の杖だ。思った通り、武器ではなく特殊な扱いの装具らしい。主として公安職の警備に使われるそうだ。)立ち止まって調べたら衆議院議員の宿舎であった。うそでしょ、こんなボロっちい団地に議員が住んでるなんて! 見たところ空き部屋も多いようだ。さっさと建て替えればいいのに、なにやってるんだか……。
振り返ると、警察官がこちらを見ていた。不審がらせてごめんなさい!
地下鉄の入り口、日本学術会議の建物の前を過ぎ、目的地:国立新美術館に到着した。
目的地:国立新美術館(60分)
初めて訪れた国立新美術館(6)は、水色のガラスの曲線が印象的な建物だ。
坂をのぼってエントランスへ向かうと、凹凸を持った建物は見る角度によって形を変える。
レジェンド、黒川紀章が設計した最後の美術館。どの角度から見ても美しく、感動した。
1hほどかけて『イヴ・サンローラン展』を鑑賞した。
タキシードジャケット、ジャンプスーツなど。いくつか「いいな」と感じるものもあったが、大半は私の感性に合わなかった。先に『ディオール展』を観て、おもしろかったから来たのだが、サンローランは好きじゃないとわかった。
そうしたことも見てみなければわからない。一つの体験として楽しんだ。
青山霊園(10分)
帰路は青山霊園(7)の中を通りぬけた。
途中にある二つのバス停の反対側にそれぞれ階段があり、そこから上がれるようになっている。
見渡す限り墓が並んでおり、政治家、作家、芸能人も数多く眠る場所だ。
ゆっくり散歩するのもおもしろそうだが、日没時刻が近く、先を急ぐため、「乃木坂」の地名の由来となった乃木将軍の墓を見ることにした。
乃木将軍は日露戦争で功績のあった軍人で、当時国民の間で絶大な人気があり、明治天皇崩御の際に殉死したことで知られる。(というか私も高校の国語の教科書に載っていた夏目漱石『こころ』で読んで、それだけの知識しかない)
Googleマップに載っているので難なくたどり着けたが、ここは乃木将軍個人の墓というより、柵に囲まれた乃木家の墓所であった。本人のほかに子息や一族の名が見える。それぞれに献花がされ、いまも訪れる人が絶えないのであろう。私は柵の外から手を合わせた。
乃木坂の駅からこの墓所も近いが、駅の東側には旧乃木邸があり、将軍の遺言によって東京市に寄贈され、現在は港区の管理下にあるということだ。
神宮外苑(30分)
霊園の北側から青山一丁目駅まで戻った。途中に電動キックボードのポートがあり、何度かキックボードに乗った人に追い抜かれた。
一帯は自転車専用道路が整備され、車道・歩道と完全に分離して道幅も十分にある。このように整備された場所であれば電動キックボードに乗るのも楽しそうだ。ただし、ヘルメットをかぶり、長袖長ズボンのほうがいいと思うね!
西へ折れて、神宮外苑の並木道を歩いた。黄色く色づき始めているが、見頃は数週間先だろう。去年訪れたときは大勢の観光客で埋め尽くされていたから、人の少ない通りを清々しく感じた。見事なイチョウ並木だ。
並木道の先まで行くと、広い野球場の向こうにドーム屋根の「聖徳記念絵画館」が見えた。
左折して野球場と神宮球場との間の道を北に歩いた。ちょうど試合をやっていたようで歓声が聞こえた。ここってスワローズのホームなんだよね(?)野球に関心がないので、ここがどういう場所か考えたこともなかった。
神宮球場の北側にはかつて「第二球場」があったが現在は取り壊され再開発中だ。神宮球場をはさんで南側には秩父宮ラグビー場があり、樹木の伐採について反対運動が起きているのはどうやらここの地区のことらしい。
続いて国立競技場の前を通り過ぎた。隈研吾設計。「中を見てみたい」という気持ちも少しあるが、わざわざスタジアムツアー参加の予約をして1800円払わなきゃいけないんだよね。ちょっち、めんどくさい。
聖徳記念絵画館の前の広場を通り、信濃町駅へ向かった。
広場で3人の少年がスケボーで遊んでいた。聖徳記念絵画館は16時まで。いずれここは見学したい。
終点:信濃町駅
駅前で「信濃町通用路」の表示を見かけた。
この先に歩道橋があり、駅へと続いている。
Y字路を道なりに行くとすぐ駅に着くのだが、近くに横断歩道がないため、歩道橋を行くのが近道のようだ。
まとめ
新宿区役所を出発して、都営バス「品97」に乗車し、青山一丁目「青山いきいきプラザ入口」で下車(4)。
赤いルートを歩いて国立新美術館へ(6)。『イヴ・サンローラン展』鑑賞ののち、青いルートにて青山墓地(7)を通り抜け、青山一丁目から北へ。神宮外苑(8)を経て信濃町まで歩いた。
合計4時間30分(内、散歩時間60分)歩数:11,200歩。
コースはいつもの通り『歩きニストのための 東京散歩地図 (旅の手帖MOOK)』を参考にして考えた。
《前回の散歩》