なにか新しいこと日記

当サイトではアマゾン、楽天のアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。

夕食後の読書タイムに読んだ本 2025年1月〜3月

夕食後の30分読書をぼちぼち続けているが、毎日編み物をしたり、2〜3月は確定申告の作業があったりして記録するのを怠っていた。ここで1〜3月までをまとめて紹介する。

最近は編み物の本を借りるため、図書館に通っていて、ほかの気になった本も同時にリクエストするので、ここに紹介したのも大部分は図書館で借りた本だ。

自分の本も山ほど積んでいるのに……。

でも、そのとき興味をもった話題についてすぐに調べて読むのが、やっぱりいいんだと思う。

1月……3冊

世界史は化学でできている/左巻建男

12月読んだ『知識ゼロでも楽しく読める化学のしくみ』に続き、化学の知識が身につく軽い読みものを求めて手に取った。

最初に読むものとしては良かったけど、結論としては、やはり高校の教科書レベルから学び直すべきだと思った。自分の知識が低レベルすぎることを再確認した。

 

落語速記はいかに文学を変えたか/櫻庭由紀子

『校正・校閲11の現場』に登場した、ウェブ校正を専門とする時田昌さんが手元に置いていた本。写真の中に写り込んでいたのを見つけて読んだ。

明治時代、速記の技術を日本に取り入れるため、人気落語家・三遊亭圓朝の高座を記録することになった。当時は音声を記録する技術がないため、落語や講談が文字で読めるとなれば大変な需要が見込まれた。出版された『怪談牡丹灯籠』速記本全13冊は大ベストセラーになった。(1884年ごろ)

このとき「言文一致体」といって話し言葉をそのまま文字に書き写したのが革命的だった。この後、双葉亭四迷『浮雲』(1887〜1890)によって小説の世界にも言文一致が持ち込まれたが、はじまりは落語(というか怪談話)だった。

圓朝の速記本は青空文庫、岩波書店の圓朝全集、国会図書館のデジタルコレクションで読むことができる。

これって文学史上の超重要な出来事だと思うのに、私が習った頃の国語教育ではまったく無視されていたんじゃないかな。すっごくおもしろかった!

 

わたくし大画報/和田誠

この本は最近ポプラ社から復刊された。
お連れ合いの平野レミさんが「和田さんに会いたくなって本を開いたら、家族のことが書いてあった」と話しているのを見かけて読みたくなった。

夫婦が若かった頃、子育て時代のいろいろ、その頃の仕事や交流があった芸能人、文筆家のことなんかが書かれているエッセイ集だ。おもしろかったし、何度か声を出して笑った。

イラストレーターはただイラストを描くだけじゃなく、見識や、普段考えていること、すべてが絵の中に反映される。こういうおもしろい人だったからおもしろい絵が描けたんだなと、感心して読んだ。

2月……マンガ9冊

狂気の山脈にて 全4巻(マンガ)/田辺剛

『狂気の山脈にて』は昔読もうとして挫折した苦い経験があるのだが、今となっては「ラブクラフトの話って全部ワンパターンだ」とわかっているので、なんで挫折したのかふしぎに思える。

たぶん、白人のおじさんばっかり大量に出てきて顔の見分けがつかないとか、どうでもいいところに惑わされて物語を楽しむまでに至らなかったんだろう。

ラヴクラフトは決まった様式美の中でディテールの違いを楽しむもの。「ふーん、南極大陸での遭難、エキゾチックじゃん」って感じでフィクションとして楽しんだ。

 

ウルタールの猫(マンガ)/田辺剛

3つの短編が収録されている。
『ウルタールの猫』は呪術によってなにか禍々しいものが呼び起こされる話。ちょっと毛色が違っていて、おもしろい。

ここに登場した少年が次の『蕃神』にも登場して、信仰を試される。

この2編はいつものパターンにはまっていないところが好きだ。

 

時を超える影 全2巻、クトゥルフの呼び声(マンガ)/田辺剛

田辺先生のラブクラフト傑作選をほとんど全て読み終えたが、この二つは特に、似た話だったんじゃないかという気がする……。

違いは『時を超える影』のほうがタコで、『クトゥルフの呼び声』がイカ!!

人智を超えた大いなる存在である「イカタコ」に魅入られ、魂を吸い取られて死んだ人の話と思っておけば、大体合っている。

 

暗黒神話(マンガ)/諸星大二郎

2024年に読んだ『海神記』と同じぐらい、なにがおもしろいのかわからん話だった。

『海神記』と比べて話の筋はわかりやすいんだけど、筋が通っているからおもしろいってわけじゃあ、ない。ストーリーの整合性にこだわるあまり、話としてのおもしろさがなくなっちゃったのかなという気がする。(個人の感想です)

祖父江慎が手がけた豪華装丁本で、未完になっていたところを加筆して完結させ、途中で絵柄が変わっちゃっているのに後から強引にページを挿入して描き加えたりして、大変な労力がかかっているんだけど、一読した感想としては、全然おもしろくなかった。

私の感性の問題かもしれないので、また時を置いて読んでみようとは思うけど、この手の伝奇ホラーは短編・連作形式のほうがいいのかも。というか、諸星大二郎という作者の特性として短編とか連作のほうが向いているんじゃないかという気もする。

 

3月……7冊

ノボさん 小説正岡子規と夏目漱石(文庫全2巻)/伊集院静

お客さんが紹介してくださった本で「読みました、おもしろかったです」と報告したら「私まだ読んでないわ」と言われてずっこけた本。

正岡子規は松山の出身、人から慕われる性格で、歌や俳句を通じてサロンを形成して後進の指導と文学の発展に寄与した。また、日本の文学史上、俳句のことを体系だってまとめ、記録に残したのも子規の功績だそうだ。夏目漱石とは特に親しく、親友といえる間柄であった。

伊集院静は、よくこれだけ緻密に調べて小説化したな、どうして子規に興味を持ったのかとふしぎに思う。

子規はすごい人で、もっと生きてやりたいことがいくらでもあったのだけれど、脊椎カリエスという結核性の病気になり、当時治療方法がなかったので若くして悶死することになった。終わりのほうは本当に気の毒だった。

 

ドレの新約聖書/訳・構成 谷口江里也

山岸凉子の単行本『押し入れ』(マンガ)の中に、ドレの新約聖書「ヨハネの黙示録」青ざめた馬の場面の模写が添えられていたのを見て「ドレってなんだろう?」と調べて入手した本。

旧約聖書と共に買うだけ買って積んであったのだが、最近になってビアズリーの展覧会に行き、「そういえば聖書の中のサロメの話ってどうなっているんだろう?」と思って読んだ。

原典と比べ、内容は省略され、読みやすいように解釈して短くまとめられているのではないかと思うが、それでも読んでよかった。聖書ってこういう話だったんや……。勉強になった。

ドレの銅版画が美しく印刷され、まとまって見られるのも良かった。これを翻訳し、出版した谷口江里也の功績を称えたい。

 

トコトンやさしい下水道の話

八潮の陥没事故のあと、下水道の現状に興味をもって読んだ。

「トコトンやさしい」と書いてあるわりに、専門的なことまで細かく書いてあって、わからないところもあったけど、こういうのは半分くらいわかればよし、と開き直って読んだ。

20代の頃水道に関わる仕事を(一般事務だけど)していたので、その頃に読んでいれば……と思った。雨水の処理がどうなっているかなんて、詳しく調べたことがなかった。下水については関心があり、今後もっと調べてみたい。

 

図書館奇譚(アートブック)/村上春樹、カット・メンシック

『イラストレーション』という雑誌は2回だけ買ったことがあって、1回は和田誠の追悼号(和田誠の本を読んだのでひっぱりだして見ていた)もう1回は「村上春樹と装丁」をテーマにした回だ。(村上春樹の本も和田誠が何度か手掛けていたりする)

そんなつながりで久々に『イラストレーション』をひっぱりだして見ていたら、カット・メンシックというドイツのアーティストが村上春樹の短編小説にイラストレーションを付けたアートブックを複数出していることを知り、取り寄せて読んだ。(日本版としては4冊出ているみたいだ)

 

表紙は高校生だか中学生だかの男の子だが、かなり女性的に描かれているのが気になった。ドイツ人からすれば日本人の少年はこんなにも女性的に見えるんだろうか。くちびる赤いし。ちょっと、これは解釈違いだったな。

羊男も、佐々木マキのイメージが強すぎて……。ただ、「邪悪なアインシュタイン」といった風貌の図書館のおっさんだけは気に入った。

中身の小説も、いくらか書き換えられているそうで、少女の出てくる場面とかこんなふうだったかな?と首を傾げつつ読んだ。

いろんな人の読み方、解釈の違いを知れることも楽しいので、これはこれでいい。

つっこみを入れつつ、楽しんで読んだ。

 

ねむり(アートブック)/村上春樹、カット・メンシック

これも全編にわたり「西洋人から見たアジア人の顔」として描かれているのがおもしろかった。日本人の描いたイラストやマンガではここまで骨格を強調して描かないことが多いから、こんなふうに骨格が浮き出るように描かれると日本人っぽく見えない。でも、白人でもない。

ほかの登場人物はあえて描かず、主人公の女性と空想の世界だけを抽出して描いているのが、アートブックとして成功していて、出来がいい。というか私はこれが一番好きだ。

昔読んだときは、結末、「なんと理不尽な、後味が悪い話だ!」と思ったものだが、今読むと印象が変わっていて「どんな理不尽な出来事もずっと続くわけではない。彼女はこの後、自分の力でなんとか切り抜けたに違いない」と前向きにとらえるようになった。

春樹さんが多少本文を書き換えたからそうなったのか、中年になって自分の感じ方が変わったのか、どっちかな。

ねむり

ねむり

Amazon

 

バースデイ・ガール(アートブック)/村上春樹、カット・メンシック

まったく覚えがない話だった。たぶん、初読かも。

話としては好きで、印象に残るおもしろい話だけど、アートブックとして成功しているとは思えない。良かったのは、表紙と、主人公の勤務先のレストランがある建物の絵ぐらいだ。

ただし、聞き手の男性が明らかに村上春樹の顔して登場しているのがおもしろい。

私は、この聞き手は別に春樹さんじゃないと思う(=解釈違い)ので、突然春樹さんが登場したことに驚いて笑ってしまった。だってそうでしょう、小説なんだから、村上春樹の小説の「僕」は必ずしも村上春樹自身ではない。ワタヤノボルとか、いろんなパターンがあるよね。