
9月の読書タイムをふりかえったら、区の図書館から借りた本ばかり読んでいた。
ほかはおもにKindleを読んでいたので、紙で積んでいる本は一向に読めていない……。
やっと涼しくなってきたから10月は自宅の図書室を活用して、もっと自宅の蔵書を読もうと思う。
モリのアサガオ(マンガ) 全7巻
連載開始は20年前という古い作品。作者の近況を調べたところ、2013年に女性アシスタントに対する強制わいせつと傷害の罪で逮捕され、有罪判決を受けていることがわかった。その情報を知ってから見ると作品を見る目も変わってしまう。
新卒で刑務官になった若者がいきなり死刑囚の舎房配属になり、先輩刑務官や死刑囚と交流する話だ。
最初から「自分の行動によって死刑囚が改心した」と思い上がった主人公の考えに物語全体が支配されているのが気になったし、ほんの短い時間キャッチボールをしたぐらいですぐに「魂の交流」とか言い出すのも、ハァ?と思った。これは一例であって、たびたびの幼稚な行動が目立った。この主人公、キライだわ……。漫画アクションは青年誌のはずなのに、なんでこんな幼稚な人を主人公にしたんだろう。
巻末には、毎回、著者が手書きの文字でみっちりと書いた新聞形式の近況報告が載っている。このコーナーも不気味だった。ちらっと見ただけでも問題のあることが書いてある。最終巻ですら「アシスタントを継続的に募集しているが、ろくな人が来ない」とか、アシスタントの紹介ページに「すぐやめた人、クビになった人、役に立たなかった人などは除く」とか、イヤミなことをわざわざ書かなくてよくない?
最後まで読み通したが、作者への偏見が入ってしまい、物語を素直に受け取ることができず、気まずいまま終わった。
落日の工藤会
2014年、福岡県警の「工藤会壊滅作戦」が実を結び、工藤会の最高幹部が逮捕された。それ以前の北九州がいかに危険な場所であったのか……という話はよく聞くが、実際のところを知りたくて手に取った。
(ちょっと驚いたのは、2000年、当時内閣官房副長官であった安倍晋三の下関の自宅が放火された事件。これ、知らなかった。下関市長選挙に絡み、安倍陣営から対立候補への選挙妨害を依頼されたとされる男が、秘書に報酬を要求。男は恐喝容疑で捕まり、工藤会系の組長に報復を依頼した。それで放火騒ぎとなったわけ。一体どうなってるのよ……)
暴力団事件では実行犯だけが捕まり、幹部は「犯行を指示した」ことの証拠がなければ罪に問われないのが当たり前というところ、工藤会の最高幹部については徹底的に証拠を集め、現在最高裁への上告中ということで、もう10年も福岡拘置所に留め置かれている。
いままであまり関心を持っていなかったけれど、これ、重要な事件だと思うのでどのような判決になるのか注目したい。
天上の虹 (マンガ文庫)3〜6巻
1〜3巻は鵜野讃良(うののさらら)の前半の人生。天皇家ならではの一夫多妻制の苦悩がメインテーマになっていて、正直、おもしろくなかった。男性中心社会で女性が苦しめられる話なんて、おもしろくね〜わ!(個人の感想です)
4巻で夫の大海人皇子が政権を取り、中央に返り咲いたあたりからおもしろくなってきた。妻たちを全員呼んで宴を開き、女主人として格の違いを示す讃良。
この後、立て続けに悲劇が起こる。大海人の娘である十市皇女と、高市皇子との悲恋。系図が複雑で忘れていたけど、この2人、異母兄妹だったんだな……。
大海人(天武天皇)の死後は、天皇の位をめぐって争いが起き、大津皇子、草壁皇子が相次いで命を落とした。有力な後継者を失い、結局は皇后・讃良が即位することに。
これが11巻中、6巻までの話だ。
炭鉱に生きる
旧ソ連の原発事故を描いたドラマを見ていたら、事故処理のために炭坑夫を集め地下を掘らせるシーンがあった。その中で「炭鉱夫にうそは通用しない」というセリフが(たぶん)あったと思うんだけど、それを見て「炭鉱夫ってどういう人たちだったんだろう?」と疑問に思い、借りて読んだ。
1960年出版、岩波新書。新書なのにハードカバーだ。書き込み式の蔵書票で貸出管理していた時代のものだろう。所蔵印やら購入日の印を本文の最初と最後にデカデカと押してあった。
北海道中部・美唄(びうた)炭鉱での労働史を記録した本だ。大正時代〜戦後にかけての過酷な労働と人々の生活ぶりについて書かれている。少ない賃金で昼夜酷使され、病気で休めばその分生活費を前借り。10年働いても貯蓄ができず借金が10万円にのぼったなんて話もある。
とにかく古いものなので当時の常識を知らなければ読み解けないところが多く、もう少しやさしい本を読んだ後でまた読むといいように思った。
潜入ルポ 経験学歴不問の職場で働いてみた
これ、なんでリクエストしたのか忘れたけど、たぶん、解体現場の仕事が知りたかったんだと思う。
前半では、27歳のルポライター野村竜ニが実際に応募して働いている。キツい仕事ばかりで1日で音をあげ、逃げ出すパターンが多い。(報酬は受け取る権利があるはずなのに、交渉するのも面倒なのかバックれてるみたいだ。もったいない……)
後半は『裏モノJAPAN』に寄せられた読者体験談で構成されている。
2022年刊行のため、比較的情報が新しく、特に後半の読者体験談は「経験不問ですぐできる仕事、稼げる仕事」を探している人に有益な内容だと思う。
潜入パートの前半ではビデオボックスの清掃、ピンサロのボーイ、成人向けビデオなど、下世話な仕事が多く、27歳・ライター青年の軽薄さにあきれる場面が多かったが、後半になると、産廃処理場での仕分け、東京都のゴミ収集のアルバイト、バキュームカーで仮設トイレの汚物を回収するとか、自分の生活に近いところでの仕事が多く、おもしろかった。
「パチスロの打ち子」というのは、言葉としては聞いたことがあったけど、どういう役割なのかこの本を読んで初めて知った。パチ屋にいるのは個人客ばかりとは限らない、雇われて打ってる人もいるわけね!
大人でも知らない仕事が多く、勉強になったので、この本は学校図書館なんかにも置いておくといいね。いいルポだった。特に「ドヤ街、寿町」から後の部分が良かった!



