なにか新しいこと日記

当サイトではアマゾン、楽天のアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。

府中市美術館『アーツ・アンド・クラフツとデザイン展』を訪れた

ウィリアム・モリスのテキスタイルに興味があり、府中市美術館で開かれた展覧会を訪れた。

アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで 東京都府中市ホームページ

ウィリアム・モリスとは

モリスは19世紀イギリスの詩人、デザイナーだ。
25歳のときに結婚して住んだ家(レッド・ハウス)の調度を制作するため、仲間たちと会社を立ち上げ、家具、壁紙、フラワーベース、食器……
生活全般を彩るデザインに携わった。

工業化の進む時代に丁寧な手仕事にこだわり、生活と芸術を融合させようとした「アーツ・アンド・クラフツ運動」はやがて世界中に広がった。

 

モリスと言えばリバティ・プリントの「ストロベリー・シーフ」や「ウィロー」などの人気柄の製作者として知られる。

同時に詩人でもあったことを今回初めて知った。 書籍のデザインにも情熱をそそぎ、詩集の装丁から本文のデザインに至るまで自ら手がけ、晩年には出版社(ケルムスコット・プレス)も設立したらしい。

展示内容・感想

モリスのデザインによるテキスタイルを見たら、当時は木版のため、微妙なカスレや線の歪み、褪色が見られた。
当たり前だが現在出回っている製品は、モリスのデザインを元にして後世に整えられたものだ。元のデザインが優れているからこそ、様々な変調も楽しく、現在に通用する新しさ、美が宿る。

 

展示室の中や外でも壁紙やベンチのクッションなどインテリアの細部にモリスのデザインが取り入れられており、見つけるのが楽しかった。(展示室の中は撮影禁止だが、外は写真を撮ってきた)
オレンジのブラザー・ラビットなんて驚くほどおしゃれだ。となりのレザーの色とマッチして空間になじんでいる。
オレンジは今回の企画のキーカラーとして使われていたはず。もしかして……こういうものも今回の展示のために特別に制作されたものでは?

調布市美術館は設備もいいし、キュレーションも大変優れている。
見る人を楽しませるための工夫が随所に感じられた。
例えば特設サイトからダウンロードしてペーパークラフトやブックカバーを作るための無料のコンテンツや、たくさんのスタンプを用意して、訪れた人に自由に押してもらい、持ち帰ってお土産にしてもらうための栞だとか……。

 

公立の美術館だから入場料も安めだし、学生や一般市民が気軽に楽しめるような無料のコンテンツを用意しているところがいいね!
その分、モリス商会の多彩なデザインを利用して作られた魅力的なグッズを売店で販売していた。つねにレジに人が並んでいたから、グッズの収益は相当ありそうだ。

 

私はブックカバーを購入した。
大阪のサンロック工業が販売しているシリーズだ。
文庫や新書用だが、A5サイズにのりで貼ったらジャストフィット! ボロボロの洋裁ノートがおしゃれに生まれ変わって、うれしい。

MORRIS & CO. – ステーショナリー専門店リンデン

選書もセンスがよい

書籍にも興味を引かれるものがいくつもあった。図録はもちろん、モリスのデザインをまとめた画集、100枚レターブック、本の装丁に関するエッセイ・講演録『理想の書物』また『フランク・ロイド・ライト最新建築ガイド』など……。

 

フランク・ロイド・ライトのステンドグラス

建築家フランク・ロイド・ライトにも興味があったことを今回の展示で思い出した。
ライトがデザインしたステンドグラス(2点)が特に印象に残った。

教会のステンドグラスのようなきらびやかなものではなく、もっと直線的で障子の格子でも見るかのような、四角いすっきりしたデザインが特徴だ。色が抑えられほとんどモノトーンに近く、一部に淡い色のガラスが使われている。

こんな美しいステンドグラスの扉、一体どこに使われたのかと見たら、ニューヨーク州バッファローにあるマーティン邸の温室の入り口に使われたものらしい。

このご時世でまさか、全米を訪ね歩くわけにもいかないが、国内で見られる建築ぐらいは全部見に行きたいなー。

府中市の威信を見た

今回、仕事の都合で埼玉方面から行った。どこの駅から行っても少し距離があるが、北府中駅からは「美術館通り」という大通りがまっすぐ通っていて、散歩がてら歩くのにちょうどよかった。(20分くらい)

府中駅東府中駅武蔵小金井駅国分寺駅からはバスも出ている。館内で各路線バスの時刻表を配布しており、助かった!!

ロケーションとしては「府中の森公園」という広い公園の中にあり、大変気持ちのいいところだ。

どこの自治体も箱物だけは立派……というところが多いが、府中市美術館は中身も良かったし、常設展にも心惹かれるものがあった。
人員も非常に充実しており、そんじょそこらの自治体美術館の2〜3倍もの係員がうろうろしている。

今時、芸術分野にこれだけ予算を割けるなんて、すばらしいことだ。(聞くところによると競馬場があって財政が豊からしい。)

終わりに

ここ2〜3年、めっきり美術展から足が遠のいていた。
久しぶりに時間を作って行ってみたら、大いに刺激されたし、見聞が広がっておもしろかった。
決して美術に詳しいわけではないが、それでも、10代の頃から時折美術展に足を運び、わからないなりに見てきたことや「これ、好きだな」と感じるものを見つけるといった経験の蓄積こそが「私」という人間を作っているのだと思う。

仕事ばっかりやってないで、人生の大切な時間を取り戻さなくちゃね!