『ダ・ヴィンチ』BOOK OF THE YEAR2018特集号から、私が今年読んでみたい本を17冊ピックアップしました。2019年1〜3月までに6作品を読了したので中間報告をします。
4〜6月に残りの11作をなるべく消化して、下半期は、より新しいものをザクザク読んでいく予定です。
1. ウドウロク 有働由美子
期待したほどにはおもしろくなかった……。帯の惹句に反して、アナウンサーとしての体面を守りすぎてない?
「40代は結婚、出産を意識しすぎて、すべてがそこからしか発想できていなかった」「エッセイを読んでも嫉妬心から曲解してしまい、そんな自分に嫌気がさした」など、垣間見える本音の部分をもっと掘り下げて欲しかった。
2. お互い40代婚
- 作者: たかぎなおこ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/03/16
- メディア: 単行本
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たかぎさんは初期のほのぼのした感じから作風が変わって、喜怒哀楽を強調し、ギャグを挟み込んで笑わせるスタイルに変貌していた。この方が、メリハリがあっておもしろい!
ご縁をキャッチするには、自分の生活の範囲内で少し行動的になるといいみたい。たかぎさんは40歳になって、急に仕事場の近所でトントン拍子にお相手を見つけていた。「おつぐやん」がいい人そうで、ほっこり。
3.出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと
(えむ文庫)
出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと
- 作者: 花田菜々子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2018/04/17
- メディア: 単行本
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実際にあった出来事をもとにしつつ、お話として仕立てられた「私小説」である。
ヴィレッジ・ヴァンガード店員の菜々子さんが「知らない人と会って、その人に合う本を紹介する」目的でマッチングアプリを利用し、次々にいろんな人に会って厳選した本をすすめまくった話。これが意外にもスリリングで、一気に読み通した。
P146の「人と会うときの戦闘力が上がる」という感覚は、私にも覚えがあり、ふふっとなった。初対面の一発でいかに相手の懐に入って本音を引き出せるかって、接客では大事だ。それを私生活で発揮しようとするとおかしなことになるのもよくわかる。
4. メタモルフォーゼの縁側 1〜2巻(以下続巻)
上品なおばあちゃんがボーイズラブマンガにはまって、同好の女子高生と友情をはぐくむ話。評判にたがわず、良かった。
大人になっても、こんな純な気持ちで好きなものについて情報交換してキャッキャできる関係っていいよね。胸があったかくなる。
おばあちゃんが一所懸命ケータイやらメールやらを使いこなしているところを見ると、応援したくなっちゃう。それから、昔ながらの言葉使いや周囲の人との関係の作り方がとっても上品で素敵だった。
女子高生がマンガを貸した後で「エッチなシーンあるけど、大丈夫だったかな?」とやきもきしているのに対して、あっけらかんと楽しんでいらっしゃったのがおかしかった!
5. おらおらひとりいぐも
純文学。63歳で文藝賞を取り、第158回芥川賞を受賞して話題となった新人、若竹千佐子さんの作品。
主人公の桃子さんの心の声が東北弁で、何を言っているのかわからないところが多々あり読みづらかった。なじみのない方言による文章はさらっと読めるものではない、集中しないと。
モノを考えるときにどういう言語を使っているのか、考えてみると不思議だ。実験的な小説だが、楽しめるとまではいかなかった。
6. ユニクロ潜入一年
これがすっごくおもしろかった。
著者が実際にユニクロの店舗でアルバイトとして汗をかいて働き、考察した記録。単にあったことを記録するだけでなく、一人の労働者として感じたことを感情豊かに表現しており臨場感がある。
これを読んで、いつも買い物しているビックロを見る目が一変した。 社員はタイムカードを修正し、サービス残業。バイトは土日・繁忙期も普段と変わらない時給で2倍3倍も働かされ、慢性的な人手不足のため、深夜までフロアを駆け回って服を畳んだり、品出しをする過酷な労働環境。社員が吐き出した「これは奴隷の仕事ですよ」という言葉が重い。