2022年10月。両親を誘い、別府・湯布院温泉に行ってきた。
60代の両親を疲れさせないように最初は徒歩やタクシーで観光できる範囲を考えたが、2日目からは父の希望でレンタカーを借り父の運転であちこち回った。
この記事では、楽しかった旅行の感想をまとめておきたい。
[目次]
別府温泉
地獄めぐりバスツアー
亀の井バスのガイド付きツアーは「ちょっと贅沢かな〜」と感じたが、結果として大正解だった。
あんなにぐねぐねした複雑な道を自分たちだけで探して行くのは大変だし、ガイドさんの案内なしでは7か所も回り切れずに途中で挫折したかも……。
とは言え徒歩エリアも坂が多いので、膝が弱い人や足が不自由な人を連れて行く際は要注意だ。自分の足で坂を上りたくなければ、車で《龍巻地獄》まで入って間歇泉のショーを見物するだけでも十分楽しめると思う。←ここはバリアフリーになっており車椅子の人も見かけたりした。
当日はあいにくのお天気で、虎柄の可愛い傘を貸してくださったので小雨の中ツアーのグループとはぐれることもなく、ガイドさんを見つけやすくて助かった。
地獄めぐり、楽しかったなあ!
耳が遠い両親はガイドさんの話を半分しか聞いていないと後からわかったが、それでも地面からボコボコと湯が沸き出す奇景を存分に楽しんだようだ。
2か所の売店で買ったプリン(醤油プリン、地獄蒸焼プリン)はどちらも食感が良く、美味しかった。甘いもの好きな人はツアー中忙しくても足を止めて買うといいよ。
公式サイト:別府地獄めぐり公式サイト(別府地獄組合)
亀の井バスの地獄めぐりツアーはこちら:定期観光バス | [公式] 亀の井バス株式会社
ホテルはリゾーピア別府
今回は宿の中で食事を楽しめるようにリゾートホテルを選んだ。
リゾーピア別府は山の上にぽつんと建っており、駅から遠く、タクシー代がかかるのが難点だ。(片道1,700円)送迎バスは1日数本しかなく時間が合わなかった。
周りに遮るものがないので眺望はよく、部屋から別府湾を見渡すことができる。おだやかで淡いブルーの美しい海だ。
早起きすれば水平線から上る朝日も見られるんじゃないかな。
朝食はお膳にずらりと並べられた和食。
食が細く「朝から和食なんて……」と文句を言っていた母も手のひらを返し、パクパク食べられるぐらい口に合ったようだ。
1人用の小鍋に別府の温泉水を使用したスープが供され、温めるとにがりの代わりに葛とデンプンで固めた豆腐(=呉豆腐)がとろりと溶け出し食感が良く、スープの味も絶品だった。
アジの干物は身がふっくらしてジューシィだった。父が言うには「干物というより半干しに近いね」
椎茸の佃煮も辛子がピリリと効いて美味だった。母が係の人を呼んで「どちらで買えますか」と聞いたら「こちらはホテルのオリジナルで販売はしていません」
やっぱりそうだと思った。リゾーピア別府は味のセンスが抜群によいと感じた。何を食べても口に合った。
1日目の夜もここで食事したかったなあ!
なお、連泊の場合、朝食のメニューは変わる。
リゾーピア別府の湯は《別府八湯》のうち《堀田温泉》にあたる。
赤ちゃんや妊婦でも入浴できる肌にやさしい温泉だ。見た目には色もなくさらりとしたお湯と感じたが効果はパワフル。夜中に体がほてって冷房をつけたぐらい、強力に温まった。
楽天トラベルで写真を見る:別府温泉 リゾーピア別府
共同浴場『熱の湯』
温泉地に行くと「外湯」と呼ばれる地元の公衆浴場に寄せてもらうのも楽しみの一つだ。
宿泊地から車で10分のところに《鉄輪温泉》の『熱の湯』があったので、朝一番で入りに行った。時刻は6:30。駐車場に何台も車が停まっていた。見たところ、地元のお年寄りが毎朝来ているようだ。洗面道具を持ち込み、皆さん湯船の近くで体を洗っていた。
「よく体を洗ってから入ってね」と注意され、ここは石けんを持参するべきだったと気づいた。
名前の通り、温度が高めなので草津で教わった熱い湯に入るときの秘訣が役に立った。足先から何十回もかけ湯をし、熱さに慣れてきたら胸の上までだんだん上がるようにして湯をかける。もういいかなと思ったところで湯船のへりにつかまり、後ろ向きになって入る。
別府でも地元の人が後ろ向きになって入っているのを見た。
その方は「今日は(熱さが)まだマシな方よ、ウフフ」と笑っていらした。
地獄蒸しプリン
母のリクエストで岡本屋売店まで蒸しプリンを食べに行った。
ここは《明礬温泉》の噴気で蒸したプリンを名物にしている。訪れたときはたまごが蒸されていた。
ここも眺望が良かった!
蒸したての温かいプリンは美味しかったが、どちらかというと私は地獄めぐりの売店で買ったプリンの方が食感が良く、好みだった。
公式サイト:【公式】別府・明礬温泉 岡本屋売店(元祖地獄蒸しプリン)
『活魚回転寿し 水天』
父が言うには「あらゆる観光ガイドに紹介されている定番の店」だそうだ。
店名には「回転寿し」とあるがレーンは回っていなかった。格安というほどではないが、庶民のお財布に優しい価格で新鮮な魚を食べさせてくれるので感激して味わった。
滞在中、毎日ここでもいいな!と思ったぐらい。
私は気に入ったし、父も後から刺身を買いに行ってホテルで晩酌していた。
駅からは少し距離があり、タクシーやレンタカーの利用がおすすめ。滞在中は何度もこの前を車で行ったり来たりすることになった。便利な立地にある。
公式サイト:活魚回転寿し 水天 | オフィシャルサイト | HOME
別府ロープウェイ
父の案内でロープウェイに乗り鶴見岳を上った。別府の町を一望できる1300mの活火山だ。
10月中旬時点で、鶴見山上駅の気温は8度。もう少し後なら紅葉がきれいだったろう。肌寒く感じた。パーカーや防寒着が必要だ。
山の上から見渡すと別府の町は山と湾との間に位置し、そこらじゅうから湯けむりが上がっている。珍しい景色を見られうれしかった。
旅行好きの父はどこへ行っても「地名+眺望」で検索して絶景ポイントを探すらしい。
若い頃は高いところに上りたがる人の気持ちがまるでわからなかったが、そりゃそうだ。東京ではどこに上ろうと建物ばかりで景色が変わり映えしない。地方に行ってこそ、見晴らしのいい高台から町全体の様子を見渡すおもしろさを感じる。
公式サイト:別府ロープウェイ
湯布院温泉
母の希望で湯布院も旅程に入れた。最近では別府より湯布院の方が人気らしい。
駅舎は新しく瀟洒な建物で道や商店街もきれいに整備され、なるほど人気の理由がわかる。軽井沢だとか清里だとか、高原の観光地に共通した小綺麗な雰囲気だ。女同士またはカップルでぶらぶら商店を見て食べ歩きするには楽しそう。
今回は短気な父といっしょのため、ぶらぶらする時間はなかった。
観光を終えて湯布院に戻ってきた頃には17時を回っており、全ての商店が閉まっていた。特に金鱗湖の周辺は全滅。駅前の一部の居酒屋のみ営業しているところもあった。(2022年10月時点ではコロナ禍で客足が鈍り、営業時間を短縮した店が多い印象だ。)
湯布院を観光するなら朝から行動し、17時を過ぎたら宿に帰ってゆったりするのがよい。
金鱗湖
金鱗湖を訪れたら一部紅葉していた。地上の景色が水面に映り込んで美しかった。
父が紅葉を喜び、やたらに写真を撮っていた。(良かったね)
湖畔に天祖神社があり、鳥居の上に川鵜が3羽止まっていた。この湖には龍神が棲まうという。
天気のいい日で気持ちが良かった。
こういうところに来て「素敵だなー、両親といっしょに来られて良かったなー」と感じるのは中年ならではの醍醐味じゃないかな。
友人からは「中途半端な時期に来たね」と言われたが、両親連れで人波をかき分けて観光する元気はないので、私としてはベストシーズンだった。
ペット可のホテルには難あり
湯布院では駅前好立地にあるペット可のホテルに泊まった。
共同のキッチンが付いており、犬猫を連れた客や外国人客が多く見られた。
館内で猫を飼っており、とっても可愛かったが、夜、貸切温泉に入りに行ったら着いてきて部屋に入ってしまった。
猫は自由気ままに生きているので、トイレに行きたくなれば「ニャーニャー」鳴いて部屋から出してもらうよう催促するし、気が向けばまた戻ってきて「ニャーニャー」鳴く。
深夜に猫が出入りするときに廊下からゲジゲジが入ってしまい、閉口した。部屋に殺虫スプレーがあったので想像はしていたが……。
両親はベッド、私は和室に布団を敷いて寝ていたが廊下からゲジゲジが這ってくるような環境ではとても眠れない。
ここは特殊だが、そもそも高原では毒虫と遭遇する確率が高い。一階の和室には注意が必要だ。高級旅館ならまさかこんなことはないだろうが、宿泊はなるべく洋室・ベッドタイプの方が無難かも……?
温泉は透明だがとろみを感じた。湯は気に入った。
終わりに
別府の町は古い温泉街の趣きが残っており、私好みだった。
旅の目的にもよるが首都圏から行くなら湯布院より別府の方がおすすめだ。
町中のあちこちから湯けむりが立ち上る景色は「別府の湯けむり・温泉地景観」として2012年に国の重要文化的景観に選ばれ、平成13年にNHKが募集した「21世紀に残したい日本の風景」でも2位に選ばれたとガイドさんが自慢していた。
古い町並みが残る分、道はゴチャゴチャしてナビを利用しても迷いやすい。私のように方向オンチな人は画面の大きなタブレット+Googleマップが必須だ。
機会があれば次は一人で来て《別府八湯》をのんびり巡ってみたい。