上野にある国立「国際子ども図書館」を訪れました。
ホラー漫画マニアの彼が、川島のりかずの絶版本を読むために行きたがっていたところです。
なんの下調べもせずにふらっと訪ねたら、想像以上に立派な建物でビックリしました。
公式サイト:国立国会図書館国際子ども図書館
建物の歴史
前身は東洋一をめざして1906年(明治39年)に建設された帝国図書館だそうです。
建物の原型を保存しつつ大掛かりな改修工事を行い、2002年に児童書専門の専門の図書館としてオープンしました。2015年には別棟にアーチ棟が完成。
現在は国立国会図書館のうちの一つとして運営されています。
古いレンガ造りの建物だけでも見る価値がある、素晴らしい歴史遺産です。
火曜・木曜はガイドツアーが開催されています。(予約優先・予約は電話にて)
施設概要
元々あったレンガ棟には企画展を行う「本のミュージアム」、児童書・絵本の閲覧室、中高生向けの図書の閲覧室、読み聞かせなどを行う「おはなしのへや」があります。
新設されたアーチ棟には会議室と、児童書の調査研修のための資料室があります。
レンガ棟にある閲覧室は入り口が開放されており、出入りや鞄の持ち込みなどの制限がありません。
一方、新館の資料室に入るには荷物をロッカーに預け、住所・氏名・電話番号を届けるなど一定の手続きを要します。
主なサービス
個人への貸出は行なっていません。
書棚にある資料を自由に閲覧したり、閉架の資料も申し込みすることによって館内で閲覧できます。ちなみに開架では、マンガはあまり見かけませんでした。
閲覧室内での飲食・写真撮影は禁止です。
見どころ
絵本や児童書だけかと思いきや、中高生向けの「調べもののへや」には大人向けの書籍も充実しており、タイトルをざっと眺めるだけでも楽しかったです。
「児童書ギャラリー」ではPCを使って、音声と映像で古今東西の絵本を味わえるコーナーがありました。
江戸期の和綴じ本や、洋書などジャンル別に検索して見られるようになっており、ナレーション付きなので旧仮名や外国語が読めなくても楽しめる仕組みになっています。『ユーゲントシュティルと絵本画家たち』の項で『ジャンヌダルク』の絵本を見てみたら、緻密な絵柄と色彩表現が凄まじかったです。
ナレーションと同時に自動的にページが繰られる式になっており、さっと絵だけ見るという動作はできませんが、時間が許せばいくつも見てみたい魅力的なコンテンツでした。
企画展も内容が充実していました。私は展示物を見るよりむしろ本を読みたかったので、ここはさっと流し見して、この後の時間は新館の資料室でゆっくり過ごしました。
館内での閲覧のみに利用が制限されるため、どの本もとても状態がよくきれいなものばかりで、気持ちよく利用できました。
私が読んだ本
「児童ギャラリー」では彼が三田村信行の『おとうさんがいっぱい』を見つけてきて「おっ」となりました。
この本は、私が子どもの頃に教科書で読んでおもしろかったので新書版を探して読んだことがあります。ハードカバーが先に出ていたとは知らなかった。
佐々木マキが児童書に挿画を描いた初めての作品だそうです。ぜひ、ハードカバーで買って挿画も見てみなくては。
その流れで、資料室に行った後は絵本作家のコーナーから佐々木マキの本を探して読みふけりました。
マンガの印刷の悪さ、紙質の悪さには以前から不満があって、同じ複製美術なのに絵本はグロッシーできれいな印刷でいいなと思っていました。
『ガロ』にマンガを投稿してデビューした後、絵本を手がけるようになった理由がおもしろい。巻末のインタビューでは、当時の原稿料や童話の挿絵を依頼された経緯など、ざっくばらんに語っていて読みごたえありました。
作品をまとめて見たのも初めてで、すごく良かった。
あとは佐野洋子の本と、人物伝『あっちのヨーコ こっちのヨーコ』を読みました。後者は生前をよく知る人々にアンケートを取って構成したという内容で、ごく親しい人から見た佐野さんの人物像が伝わってくるあったかい本でした。
彼は横で閉架から出してもらった川島のりかずを嬉々として読んでおり、私も一作読んでみましたが、さほど好きではなかった……。
森由岐子のホラーなどもあるらしいので、次回はそちらを読んでみようと思います。
私の感想
子どもがいたら、毎週でも連れて行ってあげたいような充実の図書館でした。
公共施設ゆえに無料で利用できるのもうれしいところです。その代わりに休日はかなり混雑するらしい。
館内にはベビーカーを置いておくための場所もあります。
子どもを連れていったら、たくさんある中から内容を精査して、手元に欲しい本を書店や通販などで購入するのがいいと思います。
子どもにとって、情報とは目の前にあるものが全て。たまにはこうした巨大な図書コーナーに連れて行ってあげると、本好きのお子さんなら喜ぶのではないでしょうか。
公式サイト:国立国会図書館国際子ども図書館