私小説
これは私小説である。《第11話》 ひと昔前、私は怠惰な大学生だった。それなりに仲のいい友だちもいたし授業は概ねまじめに受講したが、それ以外の時間、恐ろしく無気力だった。長期休みのたびに自室にこもって寝てばかりいた。そういうときは風呂に入るのも…
10年もある男性に片思いしていた顛末を何回かに分けてブログに書いた。我ながらアホだなーと思うのだが、実はもっと長く片思いしていた経験がある。 そうね、ざっと20年ほど……。 実家の母のことである。 子どもは親に100パーセントの愛情を求めるものだ。だ…
伯母が急逝した。62歳だった。 父の兄嫁で、性格はおおらか。いつもニコニコ明るい人だった。よく太っていた。 しばらく疎遠にしている間に持病が悪化してうつになっており、ホルモン剤とうつの薬を両方飲んでいたらしい。死ぬような病気ではなかったのだが……
川越の氷川神社では、毎年七夕の時期から2か月間「縁むすび風鈴」というイベントをやっている。彼と付き合い始めた夏、職場の後輩に薦められて2人で訪れた。 川越までは池袋から40分。小江戸と呼ばれ古い町並みが残る。恋人と観光するにはフォトジェニックで…
私の親が買った家は丘の上にあって、春は大風が吹きすさぶ。 少女時代は父の仕事の都合で転校を繰り返し、私が中学2年に上がる年にやっと帰ってくることができた。たった15か月しか住んでいないマイホーム。購入してから7年が過ぎていた。 中学まで4kmの道の…
一度だけ、空き巣に入られたことがある。 当時実家から長距離通勤をして、定期代として半年で約20万円を現金支給されていた。JRの分はクレジットカードで引き落としがかかるためゆうちょ銀行へ、バスと地下鉄の分7万円は封筒に入れたまま自宅へ持ち帰った。 …
「きみは、損をしてるよ」 残業中に上司から声をかけられて、ハッとした。 私は覚えは悪いが仕事を一から理解しようと努め、黙々と働く人間だ。同期のミキちゃんと比べたら評価されにくく不憫に思われたらしい。そんなふうに見られていたとはつゆ知らず、ビ…
今日は悲しい話をするので、そんなもの読みたくないって人はどうか回れ右してください。 私が26の時、弟が事故で脳の一部を失うことになった。 私はその頃OLをしていて夕方何気なくケータイを見たらその重大な知らせが届いていたのだった。「Kが◯◯で事故に遭…
私は、人の厚意を受け取るのが下手だ。 特に、お祝い事なんかがあった時に「何が欲しい?」と訊かれるのが苦手である。そういうときは、丁重にお礼を申し上げて辞退することにしている。 過去に最も心苦しかったのは20歳の頃。 名古屋のばあさまが「成人のお…
この話は実際にあった出来事を元にしたフィクションです。 先日友人から離婚するとの報告を受けました。 友人「上京して、仕事も新しく探します」 私「そっか、私も引っ越すつもりで今探しているところです。母校の就職課の人と親しいので、求人票を貰えるよ…
この物語は、実際にあった出来事を元にしたフィクションです。作中に反社会的な描写があったとしても、実在の人物や組織とは関係ないことをご了承願います。 「コミュ障」という言葉がある 一般的には内気で人見知り、社交が苦手で、特に人から注目を受けた…
この話は実際にあった出来事を元にしたフィクションです。 花のような人 20代を半ばにして、かねて志望していた資格を取得するべく私は資格学校に入学しました。学校にはロッカールームがあって、ロッカーが近い上級生とは自然と顔見知りになります。ある授…
ジョヴァンナです。こんにちは。 今日から私小説を書いていきます。基本的には実際にあった出来事を書いていますが、プライバシーなど問題がありそうな部分は一部改変するところもあるかもしれません。 Illustrated by DAC タイトルに「めんどくさい話」と書…
ジョヴァンナです、こんにちは。 今日は10年間温めていた片想いが終わったときの話をします。 キュンキュンしたい人は、そーいう話じゃなくてごめんね! ただの黒歴史ですよー。占い好きの人とポエムが読みたい人のみ、お付き合いください。 数年前。私が専…
Embed from Getty Images 傷ついた心をもって、アートに変えていこう。 ”Take your broken heart, make it into art.” 2017年1月8日 ゴールデングローブ賞のスピーチで女優メリル・ストリープが引用した故キャリー・フィッシャーの言葉 前回『親から自尊心を…
「娘がマンガ家になりたいと言うので応援しています」というお母さんのブログを読んで、思わず反応してしまいました。ジョヴァンナです。 大人から《無条件の愛》をタップリ受けている子どもを見ると、いいな〜、いい親御さんだなって心が温かくなる。と同時…